【クラウドEXPO(Vol.2)】営業支援・文書管理ツールとしての電子書籍システム……スターティアラボが語る書籍出版に留まらない利用法
ブロードバンド
回線・サービス
注目記事
-
【デスクツアー】真似したい自宅デスク環境一挙公開!
-
スターティアラボ、iPhone/iPad対応のクラウド型電子書店開設パッケージ提供開始
-
スターティア、電子ブック作成ソフト「ActiBook」をバージョンアップ……閲覧性向上を重視

●電子化によるリアルタイム配信や配信コストの削減
スターティアラボは、以前から電子書籍のオーサリングシステムを開発し、出版社などにソリューションやサービスを展開している企業だ。同社によれば、もともと書籍の電子化とその配信プラットフォームとして開発したActiBookシリーズだが、最近では、出版社や編集プロダクション以外の一般企業が業務に活用している事例が増えているとのことだ。具体的にはどのようにして電子書籍用プラットフォームが業務に活用されているのだろうか。
「まず、ある大企業の事例では、社内報を紙から電子化するソリューションとしてActiBookを活用しています。この企業は世界中に拠点があり、グローバルに社内報を展開する際、印刷物による配送コスト、および時間差の問題が解消されました。もちろん、グローバルで数万人規模の企業となると、印刷コストの削減効果もかなりのものになります。」(スターティアラボ 執行役員 WEBソリューション技術部長 小友康広氏)
社内報もひとつのメディアである。ならば、電子出版の流れが社内報を軸に企業に浸透していくのも、考えてみれば自然である。これは企業の典型的な活用事例だが、他にも、約款・定款のような膨大な文書を電子化し、電子書籍のプラットフォームを使って共有する事例もあるそうだ。さらに、企業内の大量な社内文書の管理にも有効である。部署ごと、事業部ごとに多様なフォーマットの書類や膨大な資料なども、単純にデジタル化してファイルサーバーなどに保管するのではなく、ActiBookのようなプラットフォームで一元管理することで、オーサリングされたファイルの閲覧機能が、電子書籍ならではの紙イメージで再現してくれるメリットがある。ファイルサーバーの場合、内容の検索は専用ツールを使うか、そのファイルのアプリケーションを起動しないとできないが、電子書籍プラットフォームなら、保存されたライブラリ全体に統一的な検索をかけることができ、巨大な文書データベースとしても機能する。
●情報共有プラットフォームとしての電子書籍
他にも、コールセンターのマニュアルやカタログデータなどを社内業務向けに管理するシステムにも応用できるという。製造業ならば、カタログや取り扱い説明書のエンドユーザー向けオンラインサービスとして利用することも可能だろう。また小友氏は、「電子書籍の配信プラットフォームをポータルやメディアとして活用する場合、よりソーシャル的な使い方を支援するために、ActiBookにはツイッターやメールとの連動機能もあります。配信する電子書籍コンテンツに、特別な「付箋」情報を貼り付けたものや、書き込みなど行ったものをツイッターにつぶやいたり、メーリングリストなどでアナウンスすることで、電子書籍上に追加で記入したパーソナルな情報を特定の人達と共有する事が出来るようになります。これを活用し、コンテンツのキャンペーンやプロモーションを展開してもよいです」と語る。
またActiBookは利用者のアカウントをID/パスワードで管理するような拡張機能も用意されている。代表取締役社長 北村健一氏は、「社内報、仕様書といった特定の社内文書を、オーサライズされたパートナー企業にだけ閲覧させるといった制御も可能です。このアカウント管理機能は本来、付加価値の高い調査資料や研究レポートなどの、閲覧ライセンス販売ビジネスを想定しており、調査会社やシンクタンクなどで活用が期待されています」と述べた。このようにエンタープライズニーズを満たす使い方もあるそうだ。
●クラウドでの利用も可能
電子書籍プラットフォームの企業利用に関する様々な事例を紹介してきたが、これらのサービスや機能は、既存のファイルサーバーでも実現できるものではないかと思った人もいるかもしれない。あるいは、大企業なら導入効果が期待しやすいかもしれないが、中小企業には向いていないのではないか、という疑問もあるだろう。ActiBookの特徴は、電子書籍コンテンツの配信ソリューションを、自社構築サーバーにもSaaS型の利用にも両方に適用が可能という点にある。つまり、オンプレミスのプライベートクラウドにも、パブリッククラウドにも対応可能なソリューションであるため、大企業から中小企業までのニーズに柔軟に対応できるということだ。
●目標は社内文書の統合的な管理
北村氏によれば、近い将来の目標としては電子出版といった領域に限定せず、企業の様々な業務における社内・社外文書のデータベースソリューションを統合することを目指しているという。社内限定の文書や資料、公開が前提のカタログや決算・公示資料などをひとつのデータベースで管理するイメージだ。この統合ソリューションはクラウドベースのテクノロジーとなるそうで、そのためのエンジン部分の開発も進んでいる。統合管理というのは、すべての文書をActiBookでオーサリングする必要はなく、既存のファイルサーバにクローラを動かし、両者を同期させることを考えている。クローラは単にファイルの情報を取ってくるだけでなく、更新履歴などのバージョン管理を行うこともできるそうだ。
既存のファイルサーバーやデータベースとの連携や同期が可能になれば、営業用のプレゼン資料や取引に関係する業務データなども管理でき、電子書籍配信システムをB2Bにおける営業支援ツールとして位置づけることが可能になるという。「システムに詳しい人は、このような目的に、DropboxやEvernoteなどを利用するかもしれないが、そういう知識がない人、情報システム部門がないような企業でも、簡単に利用できるソリューションを提供したいと思っています。」(北村氏)だそうだ。続けて北村氏は、「今後、ビジネスシーンではスマートフォンやタブレット端末の普及も予想されます。端末の扱えるデータも増えてくると同時に、ビジネスにおける電子データの活用シーンも増えるでしょう。おそらく、5~8年後には紙と電子データの役割分担がより明確になり、付加価値のレベルによって両者の棲み分けが進むと思っています」と、ActiBookファミリーの将来性と今後の展望について語ってくれた。
なお、ここで紹介したActiBookの業務利用の詳細や今後の統合文書管理ソリューションは、幕張で開催される「クラウドコンピューティングEXPO」の同社ブースでデモが実施される。
特集
この記事の写真
/