【NHK 技研公開 2011 Vol.1】「スーパーハイビジョン」の周辺技術が続々登場
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世界初の直視型スーパーハイビジョンディスプレー……NHK技研とシャープが共同開発

■アナログからデジタルへ……たゆまぬ進歩を続ける放送技術
65回目となる今回は、『あなたに伝えたい、デジタル放送の未来』がテーマ。本年はアナログ放送の終了とデジタル放送への完全移行という、放送技術にとって節目の年にあたる。
NHK技研所長の久保田啓一氏は「アナログ放送は、開始から58年の間に大変な進歩を遂げた。これと同様にデジタル放送を育て、成熟させていくことが私たちの仕事のひとつ。また、さらにその先のサービスを開発していくことも、私たちの仕事だ」と、今回のテーマの背景を語った。
■スーパーハイビジョン対応直視型ディスプレイが登場
今年の技研公開の目玉のひとつは、先日の記者発表会も大きなニュースとなったスーパーハイビジョン対応直視型ディスプレイだ。スーパーハイビジョンは、次世代の放送サービスとして研究が進められている技術。走査線の数が水平7,680×垂直4,320本と現在のフルHDを大幅に上回り、16倍の解像度を実現するとされる。
これまでのスーパーハイビジョン映像は、プロジェクターによる視聴しかできなかったが、今回公開されるのは、スーパーハイビジョンに対応した世界初の直視型ディスプレイ。シャープとの共同開発が進めれられており、映し出されている面は平面だが、見る側には立体感を感じさせる高画質となっている。
なお、記者発表会ではディスプレイのみの展示だったが、技研公開では22.2マルチチャンネルのスピーカーが一体になったものが展示される。従来どおりのプロジェクター上映もあり、10×5.6mの大スクリーンと22.2マルチチャンネル音響で楽しむスーパーハイビジョン映像の迫力は必見だ。映し出された絵画などは、絵の具のはがれている様子や筆致などまで目視できる。さらに、音響の構成は上段9チャンネル、中段10チャンネル、下段3チャンネル、ウーファー(低音)2チャンネル。人の声や雑踏の音などが、それぞれ別のところから聞こえ、音響面でも臨場感たっぷりだ。
■“画素ずらし”で画質を向上させる
また今回の展示では、スーパーハイビジョンのフル解像度相当の画質を“画素ずらし”で再現するローコストプロジェクターも登場。コストダウンの決め手は、新開発のe-Shiftデバイスだ。
これは、電気信号によって光の屈折率が変化するデバイス。これを用いてRGB(赤/緑/青)の3色すべてで“画素ずらし”を行うことで、フル解像度相当の画素数を再現している。本体のサイズを従来機の半分程度まで小型化。試作機との比較なので推定値になるが、生産コストも10分の1といったレベルまで下がるという。
また、撮影するカメラも小型化が進められており、4枚の撮像素子を組み合わせていた従来のカメラに対し1枚の撮像素子で同画素数をカバーする「単板カラー撮像方式」カメラの試作機も登場。撮像素子がシンプルになったことでカメラヘッドの小型化が可能になった。
《RBB TODAY》
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