節電の夏じわり……東京の編集部オフィスをレポート
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弊社は住友不動産の20階建てビルに入っている。編集部がある16階では、まず6月上旬から管理本部が、せっせと蛍光灯を天井から外しはじめた。最初は何をやっているのかわからなかったが、しばらくして節電対策だと気がついた。一時期は各部署で暗いなど苦情がでるも、しだいに慣れてきた感じだ。しかし、何故に蛍光灯を外すのか?消すだけで良いのではないだろうか?という疑問も湧く。この疑問を管理本部にぶつけてみると、「(人間の心理として)消すだけでは、再びつけてしまうもの。いっそ外してしまったほうが効果がでる」とのことだった。なるほど、そうかも知れない。そのため、入口付近には、取り外された蛍光灯の山が並んでいる。この状況はテナントによってまちまちで、中にはオフィスの半分の蛍光灯を外してしまったところもあるようだ。もちろん、常に人がいることのない共用部分の電気は消している。
また、しばしば話題になるエアコンの設定温度だが、これはビルの管理室から28度に設定せよとの通達があったようだ。オフィスにはパソコンやサーバがあり一般家庭に比べると温度が高くなりがちだが、現状はまだ、28度でも普通に働くことができている。しかし、同じフロアの会議室に入ると状況が一変する。各ビルの空調の配置ににもよるので断言はできないが、会議室に10名も入ると気温は一気に上昇する。このため、扉を開けて会議している状態だ。入口には扇風機も配置する。自然、眠気も襲ってくる。
実は、当ビルは9時半になると一斉に空調が止まってしまう。編集部には遅くまで作業している人もいるのだが、まさに9時半以降は暑さ&睡魔との闘いだろう。
エレベーターは16階まで運転するものが3台あるが、節電のため1台は稼働していないらしい。このため、ただでさえ普段から効率的なプログラムで動いているようには思えないエレベーターが、いっそう非効率に思え、昼時は行列ができる。
オーナー(ビル管理会社:ここでは住友不動産)には、政府から15%削減の要請があったようだ。正確に言うと、1時間当たりの総消費電力のピークを下げろ、とのお達しだ。ただ、ピーク値の管理はメーターの目視で行うしかない。このために人員を確保しなければならないところもでてくるなど矛盾も生まれそうだ。
経産省は契約電力500kW以上の大口需要家に対して、電気事業法第27条に基づき電力使用制限を発動している。「これは自主的な取組を尊重し、需要抑制の実効性及び需要家間の公平性を担保するため、補完的な措置として発動するもの」としているが、対応が曖昧だ。おそらく、ビルのテナントのひとつが取り組みを無視し、そのためにピークが基準を超えそうだということになれば、オーナーは自社ブランドの名誉にかけて、強制的に(ある程度の時間)エアコン停止あるいはエレベーターの稼働台数削減などの措置がとられるだろう。
現在、オフィスでは扇風機を購入してほしいとの声が管理本部に多く寄せられている状況だ。フロアには計3台の扇風機がふる稼働している。何段階かの風力の調整があるのかもしれないが、常に最強になっているように思われる。そのうち威力を発揮しているように思えるのがタワー型扇風機だ。「Pieria」(ピエリア)というもので、強・中・弱の3段階の風量調節が可能、で首振り機能もちゃんとある。管理本部では、これから夏にかけてさらに扇風機を購入予定だという。もしかしたら、今年の扇風機の売り上げが過去最大になるかもしれない、と思ったりもする。
《RBB TODAY》
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