EVの完全普及はまだまだ先か…ボッシュ技術勉強会
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この調子なら、近い将来はハイブリッドやEVばかりとなりそうだが、そんな予想を覆すような予測がボッシュの技術勉強会(7月14日)で明らかにされた。
ボッシュによれば、クルマのCO2削減にEVは大きな効果をもつ一方、純粋なEVはバッテリー搭載のコストが足かせとなり、2020年に1億台を突破すると見られている世界の自動車生産台数でも3%程度に留まると予測している。
そこではハイブリッドを含めても1割に満たないとされているが、日本やアメリカでの『プリウス』の人気を考えれば、これはいささか低過ぎる予測と思えなくもない。根拠となるバッテリーのコストは2020年においてもクルマ全体の5割以上を占め、エンジンのコストを差し引いてもトータルで45%のコストアップにつながると言う。これはバッテリーの単価が今以上に安くなるのを見込んだうえで、航続距離の延長という欲求も含めた、より実用的なEVとしての生産コストだ。
勘違いしないで欲しいのは、ボッシュはEVやハイブリッドに否定的なメーカーではない、ということだ。なぜなら同社は1973年にはFRレイアウトでパラレルハイブリッド車のプロトタイプを作り上げており、現在もハイブリッド用やEV用のパワートレーンの提供を行なっている。さらにEVには欠かせないパワーエレクトロニクスも自社で生産し、幅広いパーツサプライヤーに供給も行なっている。さらにはエネルギー回生とブレーキシステムを協調させる、新しいブレーキシステムの開発も続けているようだ。
ガソリンやディーゼルなどの内燃機関の改善によってCO2削減目標は充分に達成できる、ということも理由の一つだが、パワーユニットやバッテリーがモジュール化されたEVならモデルサイクルはエンジン車よりも長くしやすい(マイナーチェンジが容易)ため、一度EVが根付けば、急速に普及することも容易に予測できる。それに購入後はガソリン車よりも走行にかかるコストが安いことを知っている消費者は、EVの価格を割高とは感じないのではないか。
そういったことを考えると、サードパーティが予想している、ボッシュと同数から3倍程度までのシェアと言う幅広い予測は頷ける。しかし300万台から1000万台の間というのは、やや大ざっぱ過ぎる予測と言えなくもない。
節電による充電設備の休止など、現時点ではやや逆風が吹いているEVだが、今後インフラ整備が進めやすい新興国などでもEVが導入されれば、予測を大きく上回るペースでEV市場が急拡大する可能性も高い。そう言った意味では10年後のEV需要はまだまだ読み切れない、というのが本当のところなのかもしれない。
《高根英幸@レスポンス》
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