【IaaS導入事例】初参入のソーシャルゲーム!システム対応の課題をどう解決したか?(前編)
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同社がソーシャルゲームのサービスを始めた理由について、取締役の永山敦志氏は「もともとゲームありきでビジネスを考えていたわけではありません。拡大するソーシャルネットワークのユーザーに対して、コンテンツを通じて新しい価値を共有できないかと考えた結果が、ソーシャルゲームという結論になったのです」と話す。
しかし、ソーシャルゲーム市場への参入は課題も多い。サービスの要となるサーバーやプラットフォームを用意するIT関連の初期投資と、それらを安定して運用するための維持費の問題がある。しかも、オープン時やキャンペーン開催に連動する突出したアクセスに対応するため、余裕のあるシステム構成を余儀なくされる。そして、ユーザー数の伸びに合わせてシステムを拡張していかなければならない。
同社の場合、はじめてのソーシャルゲームサービス展開ということで、いったいどれくらいのシステム負荷になるのかは、まったく予想できなかったという。GREEの会員総数は3,000万人といわれているが、GREE会員全てではないにしても、1割が押し寄せただけで300万人のトラフィックである。1%でも30万人だ。
ソーシャルゲームを始めるにあたって、これらの問題に対処するため、同社はゲームサービスのプラットフォームとして、NECビッグローブのオンデマンドクラウド基盤(IaaS)である「BIGLOBEクラウドホスティング」を選択した。同社の基盤エンジニアである西田憲一郎氏が「サービスプラットフォームの構築にあたって、クラウド以外の選択肢はありえなかった」「ヤマトのゲーム配信プラットフォームは、50万人規模のトラフィックの増減に対応できるようになっています」と述べる。
通常、突発的にアクセスが集中するなどした場合、サーバーを増強するといっても、保有するサーバーのうち負荷の軽いものや遊休中のサーバーをかき集めて、必要なソフトウェアをインストールし、ネットワークの設定を行いサーバーを立ち上げることになる。作業がすんなり終わったとしても数時間から半日かかる作業だ。場合によっては、OSのインストールから必要かもしれない。トラフィックの増加に対応できなければ、せっかく新しいゲームを立ち上げたり、キャンペーンを開始しても、ユーザーの不満を募らせることになり、その影響は計り知れない。クラウドならば、サーバーの設定は管理画面から数分から数十分の単位で可能だ。ソフトウェアインストールを自分で行う必要もなく、オンデマンドで変動するリソースニーズに迅速に対応できる。初期投資や急激なトラフィック変動に無駄なく対応するには、それしか考えられなかったというのも肯ける。
西田氏は、クラウドサービス導入にあたって15社以上のサービスを比較検討したという。しかし、最終的に選んだ要因は信頼性だった。これは、サーバーの稼働率だけではなく、ネットワーク回線の品質やセキュリティといったシステム全体の信頼性を考えてのことだ。多くの業務用通信機器を手掛けているNECグループの一員であるNECビッグローブならば安心できるだろうとの読みもあった。
セキュリティに関しては、自社サーバーのネットワークに対して占有できるプライベートLANが標準で割り当てられるのも、ソーシャルゲームでは重要だという。比較検討した多くのパブリッククラウドサービスだと、他社サーバーとプライベートIPセグメントを共有していて独自のセグメントを持てないものが存在する。これでは、サーバー構成やファイアウォール(FW)の設定が事実上できない。NECビッグローブの「BIGLOBEクラウドホスティング」は仮想プライベートLANなので、イントラネットの構築が可能だ。DMZやFWの設定も任意であり、重要な個人情報を外から見えるサーバーから切り離すことができる。
「BIGLOBEクラウドホスティング」選択のポイントは他にもある。永山氏はユーザーのトラフィックについて、ひと言「ものすごい変動があります」と驚きを込めて表現するように、それらに対応できる柔軟なリソース構築が重要な課題だった。
次回は、同社がこの課題をどうとらえ、重要視したかを紹介していく。
《RBB TODAY》
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