【CEDEC 2011】震災はゲームの"ちから"を再認識させた・・・ゲーム業界が取り組んだこと(前半)
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前半では研究室の紹介や震災の場面においてゲームやゲーム機がどのような貢献を果たしたかが語られました。
馬場研究所は2000年4ガつに設立。東大に情報学環・学際情報学府が設立されたのと同時にスタート。文系、理系両方の学生が在籍しながら、主にデジタルアーカイブ(文化資源の情報化)とデジタルコンテンツ(ゲームなど)についての研究を進めていて、今回の震災ではその両方が役割を果たしたと言います。
■災害に立ち向かうゲーム、ゲーム機
日本における大規模災害は地震、台風、火山噴火、の3つが挙げられます。今回は特に地震に絞って話が進められました。地震は幾つかのプロセスを経て発生し、収束に向かいます。典型的には、
・予知、予報、予測
・避難、回避
・地震発生
・人名救助
・生活再建
・メンタルケア
という形で上から下へと流れていきます。「予知、予報、予測」という観点では短期と長期の両方で研究が進められています。短期では一週間程度のスパンで地震が発生するかについて、主に東海、東南海、南海地震の地域で予知の研究が進められています。また長期では"~年以内に発生する確立●●%"のようなものは、過去の歴史を紐解いて確率が導きだされています。
馬場研究所では長期の面で歴史的な災害情報資料の収集、分析、公開を進めていて、「大日本地震史料」(東京大学地震研究所)に協力した他、火山噴火についても同様の研究を行っているそうです。
一方、ゲームが大きく貢献するのは地震が発生した後の後半部分、特にメンタルケアの部分です。不安を解消して日常生活を取り戻す手助けが必要です。また、デジタルゲームがこの点で貢献することは過去の研究で実証済みだとのこと。特に子供たちです。しかし東日本大震災では子供たちのケアは不十分であったと馬場氏は言います。
現地からはゲームが欲しいという声は多数寄せられていました。そこで馬場研究所では震災発生から間もないタイミングでCESAと任天堂に対して文章で義援金のみでない(任天堂は3億円を拠出していた)部分での支援を申し入れ、これに呼応する形で、一部の報道にあったように任天堂は特別チームを組んで社員が宮城県を中心とする被災地の避難所に入り、DSとDSテレビ(ワンセグ受信機)のセットを届けたということです。
また、ボランティアによるゲームの提供も活発に行われました。スマップの中井さんがゲームを届けたという報道もありました。報道後に、公平性が担保できないということで返品するという自治体の対応が表明された所もありますが、最終的には避難所に届けられたとのこと。また、子供たちは争うことなく、むしろ自分達でゲームに番号を振って、皆で公平に順番で回しながら遊ぶという秩序が作られていたということです。
また、馬場研究所とバンダイナムコが昨年開発した『タマキュウ』というゲームも避難所に提供。楽しまれたということです。
馬場氏は最後に「ゲームの"ちから"を信じなくてはならない」と語りました。「ゲーム開発者が丹精込めたゲームのプラスの影響力は計り知れないものがあります。日常生活の安定を得るため必需品と言っても良いのではないでしょうか。震災においてその"ちから"を再認識しました。CESAでも9月以降、ゲームの提供を行うということで、我々の研究室も人を出して協力していきたいと考えています。皆さんもこのゲームの"ちから"をもう一度考えてみてください」
(後半へ)
《土本学 / Mr.Cube@INSIDE》
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