【IDF 2011(Vol.6)】インテルアーキテクチャでTD-LTE基地局のコストを大幅削減
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
同社CTO・Justin Rattner氏の基調講演の中で発表された。Intelと、世界最大級の加入者数を擁する中国の携帯電話事業者・China Mobileの共同プロジェクトとして約2年前より開発に着手し、シミュレーターによるテストを既に完了、2012年にはフィールドテストに入る予定という。
LTEネットワークでは、電波の送受信を行うリモート無線ユニット(RRU)がCPRI(Common Public Radio Interface)と呼ばれるインタフェース(一般に光ファィバーが用いられる)でコアネットワーク側に接続されるが、今回公開されたシステムではCPRIより上流の基地局設備を標準的なPCのアーキテクチャで動作するサーバーに置き換え、データセンターに収容する。基地局の無線部分以外が言わばクラウド化される形で、Intelではこのシステムを「Cloud Radio Access Network」と呼んでいる。
デモで公開されたシステムはデスクトップPCそのもので、CPUもサーバー用のXeonではなく、Sandy Bridge世代のCore i7だという。マルチコアCPUの各コアへの負荷分散、Sandy BridgeでサポートされるAVXといった拡張命令に最適化された信号処理ソフトウェアを搭載し、リアルタイムでのパケット処理においても高い性能を発揮できるとしている。
Rattner氏は「現在、基地局の設備はカスタムASICをベースに作られているが、Intelアーキテクチャを利用することにより大幅にコストを削減できる」と話し、今後一層増大すると予想される基地局整備コストに対して有効なソリューションになるとの見方を示した。
また、講演後に行われた質疑応答の中でRattner氏は、今後の無線ネットワーク技術の中では、携帯電話、無線LAN、WiMAXなど複数の異なる方式のネットワークの中から、そのとき最も状態の良いものを自動的に選択しながら通信する「コグニティブ無線」がトピックになるとコメント。
しかし、コグニティブ無線においては技術開発もさることながら、通信方式ごとにあらかじめ決められた周波数を各国の当局が個別に免許する法制度が大きな障害になると話す。すべての周波数がいきなり解放される可能性はないため、当初は現在ライセンスされている帯域の一部をコグニティブ無線用に提供してもらい、技術の有用性が認められるようになれば徐々に解放される周波数が増えていくといった道のりが現実的な路線との考えを披露した。無線アクセス技術の将来に関しては「願わくば来年のキーノートでその話をしたい」とコメントしており、Intelとしてもこの分野における次の一手を用意していることを強調した。
《RBB TODAY》
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