グランプリ受賞について、CMの企画や制作を担当したという伊万里ケーブルテレビジョン 総務部 部長 川田毅氏に聞いた。
――グランプリ受賞おめでとうございます。さっそくですが、総務部部長という肩書をお持ちですが、このCMの企画を担当したと伺いました。
川田氏:はい。企画だけでなく、制作もすべて自分でやりました。
――御社では、そのようなことはよくあるのですか。
川田氏:比較的あるほうだと思っています。じつは、私は10年ほど放送部に所属していまして、そのころは番組制作などにも携わっておりました。現在は総務部ですが、そのときの経験を活かして作ったCMです。
――CMは、「デジタル見るなら…」という問いかけに、寝言で「STB」と答えるものですよね。このCMのコンセプトというか企画意図はどんなところですか。
川田氏:いちばんの目的は、とにかくSTBというキーワードをお客様に認知していただく、ということです。デジタル化が、ホームターミナルが、という説明をしても高齢者などはSTBという言葉さえ初耳という状態でした。それならば、まず言葉を覚えてもらって、デジタル化への移行ハードルを少しでも下げようと考えて企画しました。
同時に「デジタルには夢がある」というキャッチフレーズもあったのですが、その夢と寝言をかけたというのもあります。
――撮影は大変でしたか。
川田氏:ええ。CM自体は1分程度のものですが、撮影というか子供が寝言で「STB」といってくれるまで2カ月くらいかかりました。やらせはなしで、2か月間ずっと「デジタル見るなら…」に対して「STB」と答えさせて、やっと言わせることができました。
――えっ。寝言は演技ではなくてリアルな寝言だったんですか。確かにそれは伝わってきそうなCMですね。このCMによるキャンペーンはどれくらい続けましたか。
川田氏:だいたい2年くらいです。デジタル化を進めるにあたって、「デジキャッチ」という20分くらいの番組があるのですが、主にそこで流していました。じつは、番組の中でも、子供に「STB」と言わせるCMのメイキングのような場面も流していました。
――視聴者の反応や宣伝の効果はどうでしたか。
川田氏:番組内にCMの伏線のような内容もあったためか、評判はおおむねよかったと思います。おかげさまで、伊万里ケーブルテレビジョンではSTBによるデジタル化率は98%まで達しています。うちのエリアでは、平成17年のデジタル化サービス開始のとき、佐賀県のデジタル放送が始まった平成18年12月ごろ、そしてアナログ放送停波の今年の7月前後の3段階でデジタル化の動きがありました。受賞したCMは最後の2年ほどに流していたのですが、最後のアナログユーザーの一押しに貢献できたと思っています。
――最後にグランプリ受賞の感想をお願いいたします。
川田氏:昨年は隣町のケーブルONEさんが受賞しているので、ことしはうちが受賞できて、非常にうれしいと思っています。また、応募を助言していただいた唐津ケーブルテレビジョンの社長にもお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。