富士通研、複雑な形状のエリアも正確に探索できる時空間データ処理技術を開発
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
これまで、GPSやRFIDなどのセンサーを用いて人や車などの位置情報を大量に取得するには、データの特徴や分析の目的に応じて、あらかじめ適切なメッシュ(格子状の領域)を事前に設定するか、もしくは、無数のエリアをくまなく調べるために長い時間を要した。今回開発された技術は、メッシュの設定をすることなく、従来手法に比べて約60倍高速に複雑な形状と多様な広さを持つエリアを探索できる技術となっている。データの特徴と集計の方法に応じて、エリア全体を必要十分に細かいエリアに自動的に分割したのち、これらを組み合わせたエリアを候補として、集計値が最適となるものを探索するという。これにより、長方形などに限定されることなく、広さが異なるエリアを組み合わせた、凹凸を含む複雑な形状の注目エリアを、的確に探索できる。
また、新たに開発されたアルゴリズムでは、エリアの組み合わせを逐一列挙する代わりに、探索中の候補エリア内での出来事の発生確率に基づいて、候補に含まれることのない個々のエリアを除外する処理を繰り返し行う。これにより、列挙された候補エリアを大幅に削減し、確率の高いエリアのみを効率よく探索できるため、代表的なデータマイニング手法に比べて約60倍以上の高速化を実現した。その結果、「乗客に出会えるエリア」のように、動的に変化するエリアもタイムリーに探索することが可能になった。
本技術では、エリアによる電力需給の違いに基づく効率的な配電制御、運転注意地点や防犯マップの高精度化などに役立てることが期待される。あるいは、リアルタイムで正確な商圏分析に基づくマーケティングなど、手持ちの位置情報データを活用した業務改善や、新しいサービス開発への応用が見込まれる。なお富士通は6月に、位置情報を活用した新しいサービス「SPATIOWL(スペーシオウル)」を発表している。今回開発された技術は、2011年度中を目標にSPATIOWLへの機能搭載を予定しているとのこと。
《池本淳》
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