子どものネット利用には家族のルール作りが大切…松仙小学校
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「ファミリeルール講座」は、東京都・心の東京革命が主催して、公立・私立を問わない小中学校を中心に、児童・生徒、保護者・教職員・地域ボランティア等を対象に実施しているもの。松仙小学校でも9月に児童向けに開催されたばかりで、東京都 青少年・治安対策本部 ファミリeルール事務局の岡崎泰明氏によると、今年に入ってすでに200回程度実施しているという。
大田区久が原の閑静な住宅地に位置する松仙小学校は、3年生のみ3学級、その他の学年は4学級の総学級数23と都内では比較的規模の大きい公立小学校だ。この日、出席したのは校長と約30名の保護者、主に母親たち。同校では毎年1回、PTA主催で講演や勉強会などさまざまなイベントを開催しているという。
講座に先立ち中里守男校長は、「先日は、子どもたちを対象とした講座を開催しましたので、お家に帰ってお子さんたちと、ネット利用のルール作り等についてお話をしてください」と語った。
講師を務めたのは、eメディアリーダーの菅野泰彦氏だ。菅野氏は、フィルタリングソフト等のセキュリティ製品を提供するアルプスシステムインテグレーションの社員で、インターネット利用アドバイザーなども兼任している。
この日は、「インターネット事件事例」「実態把握」「対策」「フィルタリングについて」「買い与えたその日から」に沿って、資料やDVDを用いた90分ほどの講座が行われた。
インターネットトラブルで失う危険のあるものは「命」「心」「財産」だといい、出会い系サイトの被害、高額請求、ネット・ゲーム依存、ネットいじめなど、さまざまなケースを紹介した。
具体例として、DVDで実話に基づいたトラブルの例が紹介された。携帯のプロフやメールを通じて、(偽)男子生徒と親しくなり、実際に会いに行った女子高生の例では、男子生徒が出場するサッカーの試合を応援に行くと約束するが、待ち合わせに現れたのは、車に乗った大人の男性。戸惑うシーンで映像は終わったが、「このケースでは4割の女の子は車に乗ってしまう」のだという。
さらに、初めて携帯電話を与えられた女子小学生の例も紹介された。メール受信後にすぐに返信しなければならないという強迫観念にとらわれた少女は、食事のときにも学校でも端末を手放せなくなる。あるとき母親にメールをチェックされたことに腹を立て親子の仲が険悪に。そんなとき、恐ろしいチェーンメールが届く…。携帯電話を与える際にルール作りをしていれば防げた可能性が高い問題だ。親とのトラブル後にチェーンメールなどの脅威について相談できる子どもは少なく、子どもだけで抱え込んでしまうケースが多いと説明された。
コミュニティサイトや出会い系サイトの被害児童・生徒は男子3.3%に対して女子96.7%と圧倒的に女子が多いことも紹介された。また、加害者の18歳以下の割合が年々増加しており、2008年から2010年までに倍増していることも説明された。なお、被害数として発表される数値については数百名、数千名の場合が多いが、「実際はその100倍程度と見るべき」とのことだ。これは、「子どもに事件を早く忘れさせたい」あるいは「自分の子どもにも非があるかも知れない」との親の思いから、被害届けを出さなかったり、取り下げるケースが多いためだという。
出会い系での被害、なりすまし、ネットいじめ、有害コンテンツ、架空請求、不当請求、ネット・ゲーム依存など、インターネット環境にはさまざなま脅威が潜んでいる。東京都ではこうしたネット・ケータイのトラブル相談窓口「こたエール」を開設し、電話やメールで相談を受け付けている。
携帯電話やインターネットを子どもに与える際には、家族でのルール作りがかかせない。フィルタリングサービスを活用して年齢に応じた利用制限をかけたり、有害サイトを排除したうえで、利用時間や利用内容などを親子で話し合い、ルールを決めたい。我が子に安全安心なネット環境を与えるために、保護者も今回のような講座に参加してみてはいかがだろうか。ファミリeルール事務局では、電話、ファクシミリ、Webサイトで、講座(無料)の申し込みを受け付けている。
《田村 麻里子》
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