【年末年始企画】2011年注目記事~ブロードバンド・ネット編~
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2010年がTwitterの年とするならば、2011年はFacebookが爆発的に普及した年だった。スマートフォンの普及はソーシャルメディアユーザーの増加に拍車をかけ、さまざまなウェブサービスと連携して、その勢いはさらに加速。企業もFacebookやTwitterと連動したプロモーション/PR施策を次々と打ち出すなど、大いに盛り上がっている。
これらのソーシャルサービスが世代に関わりなく利用され、さら大きな広がりを持つようになるのか、それとも一過性のブームに終わるのか。2012年はソーシャルメディアの転換点として位置づけられる年になるだろう。
通信サービスでは、XiやWiMAXなどの次世代ネットワーク整備が本格化。スマートフォンの普及がトラフィックを急速に増大させているため、3G回線の負担を少しでも減らすべく各キャリアは次世代サービスへの移行やWiFiなどへのオフロード対策について積極的に取り組んでいる。
【1月】
・企業のFacebookへの注目度、Twitterを上回る……宣伝会議調べ
・「UQ WiMAX」vs「イーモバイルG4」vs「ドコモXi」、主要都市20個所で速度比較……MMD研究所調べ
・ミクシィ、ドイツ最大のSNS「ファーツェット」と提携…中韓につづき3社目
すでに1月の時点で企業間でのソーシャルメディアの軸足はFacebookに移りつつあった。住所や年齢までも明らかにする実名性SNSが効果的なマーケティングツールであるということは疑いようのない事実だ。古参の国産SNSであるmixiも、海外のソーシャルメディアと積極的な連携施策を打ち出して巻き返しを図る。
【2月】
・AndroidアプリをPCからダウンロード……Android MarketのWeb版が公開
・ドコモ、第4世代移動通信方式「LTE-Advanced」の実証実験を開始……予備免許を取得
・ソフトバンクモバイル、800MHz帯におけるLTEシステムの実証実験を開始
次世代のモバイルブロードバンドと目されるLTEとその進化版であるLTE-Advancedの実証実験をソフトバンク、ドコモが開始。KDDIもLTEへの切り替えをすでに表明しており、国内大手3キャリアはすべてLTEでインフラの整備を進めることになった。また、契約数ではiOSをしのぐ地位になったAndroidだが、アプリ購入スキームのわかりにくさがユーザーやアプリベンダーには不評で、ようやくこの2月にPC版のマーケットプレイスが整備された。
【3月】
・【地震】Googleが地震の安否確認サイトを立ち上げ
・【地震】Google、被災地の衛星写真を公開……生々しい傷跡
・【地震】夜の計画停電を体験……歩行者見えず、自転車も危険
東日本大震災が日本のみならず世界を揺るがした。津波被害とそれにともなう原子力発電所のメルトダウン、さらに電力の逼迫による計画停電騒ぎなど日本全国を巻き込んだ被害と影響をもたらした。地震の被害や電力不足により工場も創業がストップし、世界の産業に少なからぬ影響をおよぼした。太陽光発電など化石燃料や原子力に頼らないエネルギーへの移行、スマートグリッドをはじめとするグリーンITの推進が世論を賑わせた。
【4月】
・【地震】地震直後の72時間、TwitterとFacebookの利用実態が判明…IMJM調べ
・【地震】震災1ヵ月、日本政府が世界主要紙などに謝意広告
・【地震】被災後初めての原子炉建屋内画像
震災から時間を経ると、ソーシャルメディアが震災の際に貴重な情報ツールとして活用されたことが各種調査で明らかになった。福島第一原子力発電所事故の当事者となった東京電力は、情報公開が後手に回り世論の厳しい批判を受けることになる。その後東電では画像や映像の公開を進めるが、震災での原発被害の実像が明らかになるまでにはさらに数ヶ月を要した。
【5月】
・【Wireless Japan 2011】NTTドコモ、世界に先駆け次世代LTE“LTE-Advanced”をお披露目!
・Amazon.comにおける電子書籍の販売部数、紙の書籍を超える
・YouTubeが6周年……1日あたりの視聴回数は30億回オーバーに成長
計画停電の騒動は落ち着いたものの、夏に備えた電力制限通達は製造業にとっては大きな痛手となった。通信業界においては、「Wireless Japan」などの見本市が開催されるなど、ようやく“日常”が戻りつつあった。一方海外では、YouTubeがこの5月で6周年を迎え、Amazonは電子書籍の売り上げ部数が紙を超えた。電子書籍については、インフラ・端末・課金プラットフォームという“普及の3条件”がそろったことの証左であろう。
【6月】
・ヤフー、「東日本大震災写真保存プロジェクト」を公開…1万枚以上の写真が投稿
・中国版Twitter「ウェイボー」、日本でもアカウント取得可能に
・グーグル、次世代SNSサービス「Google+」プロジェクトを開始
“ソーシャルサービスは不得手”と言われていたGoogleが、ユーザー数で先行するTwitterやFacebookから巻き返しを図るべく打ち出した一手が「Google+」だ。Facebookの「いいね!」(または「シェア」)に相当する「+1」ボタンと、それまでのGoogle buzzを引き継ぎGmailなどと連携したつぶやき機能、友人をカテゴリ別に登録する「サークル」など、各ソーシャルメディアのいいとこ取りと新機軸を交えたソーシャルサービス。β版サービスがアナウンスされると大いに話題となった。
【7月】
・アップルのApp Storeでのアプリダウンロード数が150億本を突破
・NASA、スペースシャトル「アトランティス」打ち上げ成功
・Ustream、ギネス世界記録に認定……1分間に約70時間の動画が投稿、YouTubeの2倍以上
動画共有サービスはYouTubeとニコニコ動画の寡占状態。ライブ配信に特化したサービスとして、2社とは異なる路線を打ち出していたUstreamだったが、ニコニコ動画が生放送でユーザーを多数獲得するようになると、これに対抗して有料会員サービスなど新たな施策を発表。YouTubeはライブ中継をスタートさせたり、オンデマンドのビデオレンタルサービスを日本国内で導入。Huluなど海外勢の参入もあり、動画サービスをとりまく話題は2012年も尽きることはなさそうだ。
【8月】
・NTT Com、国際IPバックボーンの日米間回線容量を500Gbpsに増速
・Google「未来へのキオクプロジェクト」、携帯電話・スマホ向けサイトを公開
・ミクシィ、誰でもソーシャルページが作成・公開できる「mixiページ」提供開始
自動車産業とその周辺の製造業は、電力不足のため土日に操業する“震災シフト”を組むなど異例の事態となった。また、震災の影響でSoCの生産や流通が滞った影響で夏の商戦が8月までずれ込むなどの影響も受けた。この時期とくに大きなニュースはなく、Googleは「未来へのキオクプロジェクト」のモバイル版の提供を始め、mixiはサイト体系を一新してmixiページを新たに立ち上げるなどといったニュースにとどまった。
【9月】
・米Huluがいよいよ日本でサービス開始!デバイス間でシームレスに視聴
・Twitterのアクティブユーザーが1億人を突破!
・ドコモのXi新データ通信プラン、「パケ死」防止策も
9月から10月にかけては、各キャリアが冬春モデルの発表会を実施。先陣を切って行われたドコモのLTE対応タブレット発表会では、動画配信サービス「Hulu」との提携に加えてXiの新料金プランも発表された。ソーシャルメディア周辺では、Google+が正式にサービスをスタート、Twitterがアクティブユーザー1億人を発表。ソーシャルメディアがコミュニケーションの世界的なプラットフォームにまで成長したことを伺わせるニュースだ。
【10月】
・iPhone 4S、auとソフトバンクで通信速度が違う……実際は?
・米グーグル、Android 4.0を発表
・LinkedIn日本参入「プロフェッショナル向けに特化しFacebookと一線画す」
「iPhone 4」が、CDMA1xキャリアのKDDIからも発売されることになり、ソフトバンクモバイルとの通信速度比較についての話題がITサイトを賑わせた。規格上の速度ではソフトバンクが有利であるものの、インフラの整備状況や利用する帯域の面ではKDDIに分があるといった情報が出たが、電波をシェアするモバイルデータ通信の特性上、周囲の環境によって通信速度はまちまちというのが実情のようだ。またこの時期、GoogleはAndroidの次期バージョンでタブレット(3.x)とスマートフォン(2.x)の両ラインを統合するAndroid 4.0(Ice Cream Sandwich)を発表している。
【11月】
・ディズニーとYouTubeが提携! 共同チャンネルを開設
・NTTドコモ、スマホ向けポータルサイト「dメニュー」提供開始……“スマホ版iモード”がいよいよ始動
・ミクシィとTwitter、提携を正式発表……広告領域における連携などを推進
国内ソーシャルメディアで大きなユーザー数をもつmixiとTwitterとの提携が11月に発表。主に広告領域での戦略的な提携となるが、この提携がどのような形で両サービスに変化をもたらすかはまだ不透明だ。海外では、YouTubeがディズニーと提携して共同サービスをスタート、日本に比べて版権についての考え方が自由な米国では、音楽と映像の両面では日本では実現し得ていないサービスが多数ある。またスマートフォンの領域では、どこもがフィーチャーフォン時代の「iメニュー」のスマートフォン版ともいうべき「dメニュー」をスタートさせた。キャリア月額課金のアプリ提供なども本格化し、アプリベンダーにとって不毛の地であったAndroidの魅力を増すことができるかどうかも注目だ。
【12月】
・グーグル、「Google年間検索ランキング2011」を発表……急上昇ワードは5位まですべて震災関係
・「スマホの写真で自宅が特定された」……GPSトラブルで東京都が注意喚起
・多発する「ネット炎上」、“やらかす人たち”に世代や意識の大きな差
国内では震災と原発事故そして電力の逼迫、海外ではタイの洪水や中東での政変など政治と産業の両面で大きな事件の多かった2011年だったが、先頃Googleが発表した検索ランキングの結果は、激動の年を象徴している。また、2011年はソーシャルメディアでの投稿に端を発する炎上ニュースも相次いだ。プライベートなミニブログサービスといえども、インターネット上で開かれているため違法行為や誹謗/中傷などは一度公衆に目をつけられれば非難の標的にされかねない。ソーシャルサービスを利用する側のメディアリテラシーの重要性も改めて注目された1年だった。
《RBB TODAY》
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