富士通、長距離信号伝送で革新的な歪み対策技術を開発……「歪んだらきれいになる」
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
回路規模あたりの補償能力を、一般的な従来技術と比較して約20倍、富士通の従来技術と比較して約3倍と格段に高め、光信号の到達距離の長距離化に成功したとのこと。本技術により、通信キャリアの基幹伝送ネットワークや大規模データセンター間を結ぶネットワークに対して、再生中継器が不要となるため超高速の長距離伝送システムを低消費電力・低コストで提供できるようになる見込み。
従来は「歪んだ波形を元に戻す」という発想で受信側のデジタル信号処理による補償を追求してきたが、新技術では、「歪んだらきれいな波形に戻るように逆歪みを加えて送信する」 という発想の転換を行ったという。補償回路が受信端にある場合と異なり、送信端にある補償回路の入力波形は雑音も歪みも含まないため、波形を形成するための演算処理の単純化が可能になるとのこと。さらに、毎秒100ギガビット伝送装置でデファクト標準方式となっているDP-QPSK信号に対象を絞り込み、演算式を簡略化することで、大幅に補償回路規模を削減した。また送信器から出力される光信号を、RZパルス(注6)と呼ばれる形に変換することで、さらに非線形補償の改善効果が高まることを発見した。
これらの技術を、毎秒112ギガビットの伝送実験に適用した結果、他社従来技術で20段の補償回路を用いて得られるよりも高い信号品質が、開発技術ではわずか1段の回路で得られることが確認された。今後は、開発した技術を毎秒100ギガビットを超える次世代長距離光通信システムに搭載し、2015年頃までに実用化を進める予定。
《冨岡晶》
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