HTC J ISW13HTの使命は「高性能なHTC端末の価値を幅広く知ってもらうこと」……チョウCEO
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■KDDIとの密な関係を強調
田中氏が最初に台北のHTCを訪れたのは2年以上前だが、当時はまだまだフィーチャーフォンが主流だったため、すぐにはKDDI向けの端末供給には結びつかなかった。しかしChou氏は「我々はQualcommやVerizonといったパートナーとも協業してきたCDMA(2000)のリーダーだが、KDDIのCDMAネットワークは性能、安定性その他すべてにおいて最高の水準だと考えていた。我々の端末とKDDIのネットワークのエクスペリエンスを組み合わせたいと考えていた」ため、その後も両社は協議を続け、昨年の「EVO WiMAX ISW11HT」「EVO 3D ISW12HT」の国内展開にこぎ着けている(法人向けには2009年に「Touch Pro E30HT」を展開)。
田中氏は「海外のビジネス街などでは以前からHTCユーザーを見かけることが多く、実際に使ってみると動作のスムーズさに驚いた。これをぜひとも日本に紹介したいと思っていた」ことが、昨年のEVOシリーズ2製品の発売につながったと説明。EVOはauの全端末の中でも最もユーザー満足度の高い機種になっているという。しかし、ユーザー層がITリテラシーの非常に高い「ギーク層」に偏っており、スムーズで高性能なHTC端末の価値をいかにしてより広いユーザーに伝えていくかが課題だった。
このために新たに投入されたのが、HTC端末では初となるおサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信のサポートだったが、そのようないわゆる「ガラパゴス機能」への対応だけが、日本市場専用端末の特徴ではなかった。田中氏は「海外では黒い端末が主流だが、日本ではカラフルなデザインが必要と伝えた」と話し、Chou氏もKDDIとの協業によって「HTCはテクノロジーの会社だが、製品は“可愛く”デザインすることも大事で、カラフルな大衆仕様のものが必要ということを知った」と述べるなど、機能だけでなくデザイン面でも日本市場を強く意識した製品であることを強調。
実際には、KDDIの要望は当初なかなかHTC側には理解されず、カラーバリエーションの必要性を訴えたとき、Chou氏は「子供みたいなことを言うものだ」(田中氏)という反応だったということだが、現在では両社の間に強いコンセンサスがあり、日本のユーザーのために費やした努力には大きな意味があったとChou氏も認める。
■「日本市場で再度鍛えられ、海外でもっと強くなれる」……日本法人社長
HTC NIPPON代表取締役社長の村井良二氏は「日本市場はそのものが非常に魅力的。決して小さいマーケットだとは思っていない。日本のユーザーの目は世界で一番厳しく、アジア圏内ではファッションなど日本で始まった流行が他の国々に波及することも多い。(グローバルベンダーであるHTCが)日本市場で再度鍛えられ、海外でもっと強くなれる意味は大きい」と話し、日本市場のためにコストをかけてHTC Jを開発する意義を強調した。
また、HTC Jのプロモーションにあたっては、秋元康氏プロデュースのアイドルグループ・乃木坂46をイメージキャラクターとして起用。HTC Jはフル機能対応のハイスペック機だが、従来のEVOシリーズとは異なり、フィーチャーフォンから乗り換える初めてのスマートフォンユーザーに向けても積極的にPRを展開する考え。
《日高彰》
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