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複数のユーザーがネットワークを介して情報を公開し、共有・活用できる便利なグループウェアは、いまや一般企業になくてはならない不可欠なITツールになっている。とはいえ、初めてグループウェアが登場してから約20年の歳月が経ち、企業をとりまくIT環境が進化する中で、最近ではグループウェアの在り方も変化してきている。
「最近ではノートPC、タブレット、スマートフォンといったモバイル環境が充実し、グループウェアはいつもでどこでも使えるものという認識になりつつあります。もちろん日本国内だけでなく、グローバルな話も含まれています。つまり海外の拠点・営業所においても、誰もが違和感なく使えることが求められているということです。このように使える範囲が広がっていくと、マルチ言語・マルチ通貨といった問題や、現地の法令への対応など、新しい問題を意識していく必要がでてきました」と語るのは、グループウェア黎明期から開発を手掛けてきたOSK 営業本部 マーケティング部 部長 笹原直樹氏である。
さらにITの進展は、これまで情報系ソリューションというイメージが強かったグループウェアのカテゴリーすら変えようとしている。OSK R&D本部 本部長補佐 兼 製品開発部 部長の橋倉浩氏は、次のようにその印象を語る。「いままでグループウェアは情報系ソリューションに属するものでした。しかし、最近では情報系というのも少し違うような感じを受けています。グループウェアも基幹系になってきている気がするからです。メールやスケジューラーが止まってしまうと、損害賠償を受けるような時代になってきました。さらに勤怠管理のような業務カットの機能も出てきています。グループウェアのワークフローが基幹系業務とリンクし、その承認が流れるケースがあるため、もしグループウェアが止まれば基幹業務にも大きな影響が出てきます」。つまり、最近のグループウェアは基幹系のミッションを担うケースが多くなっており、基幹系の一部として扱われるようになってきたというのだ。
■提供形態をパッケージにするか? あるいはクラウドにするか?
このように、いまやストップできない“コミュニケーションツール”として、ますますその重要度を増しているグループウェアだが、最近では、従来のオンプレミス型(自社導入型)のほか、インターネットを利用したクラウド型(SaaS型)などの提供形態も登場している。クラウドサービスは、主に中小・中堅企業をターゲットとしており、イニシャルコストが抑えられ、導入や運用・管理もラクというメリットがある。その半面、カスタマイズできず、ユーザー個別の細かいニーズには応えにくいという側面もある。一方、自社導入型のパッケージソフトの場合は、導入時にある程度のスキルが求められる。サーバやデータベースなどのインフラを準備し、自社で運用・管理を行わなければならないことも多い。しかし、クラウドサービスのように、お仕着せの標準化されたものではなく、ユーザーにとって欲しい機能をカスタマイズで付け足せるため、満足度の高いツールとして利用できるというメリットがある。
グループウェアの一般的な機能面を見てみると、メーラー、スケジューラー、ドキュメント管理など、クラウドサービスもパッケージソフトも主要部分ではそれほど遜色はない。ただし無償クラウドサービスなどは、ポータルからシームレスに起動できるようなSSO機能(シングル・サイン・オン)がサポートされていなかったり、セキュリティ面でもSSLによる暗号化に対応していないなど、細かい部分での違いはある。企業でグループウェアの導入を検討する際には、このような使い勝手やセキュリティ面もしっかり考慮したいところだ。それぞれ一長一短があるものの、パッケージソフトを使うか、あるいはクラウドサービスを使うかは、企業規模や利用形態を鑑みて選択されるのが実情だろう。
《井上猛雄》
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