自動車を核にしたエネルギーマネジメント
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VWの電動駆動担当グループ執行役員のルドルフ・クレープス氏は、「VWの電動自動車が数10万台、数100万台となったときは、充電時間をいかにコントロールするかが重要になる」と述べ、ドイツの電力需給を例に、VWの考える包括的なエネルギーシステムの姿を示した。
◆電力平準化にEVを活用
基礎的な電力供給は一定出力の大型の発電所と風力や水力、太陽光発電などのグリーン電力が担う。しかし、それだけでは変化する市場の電力需要に対して対応できずにギャップが生じてしまう。
この問題に対してクレープス氏は、VWグループのEモビリティと熱電力供給システム「CHP(Eco Blue)」が解決策になるというのだ。VWの「CHP」とは「コンバインド・ヒート&パワー」の略で、CNGを燃料とする2リットルエンジンであり、発電と熱を生み出す小型の発電所のようなものだ。電力需要に対して電力が足りないときは、個々の家庭で使用する「CHP(Eco Blue)」が電力を補い、そして電力が余ったときは、VWのEモビリティが受け入れるというのだ。
「バッテリー駆動型だけでなくプラグインの自動車も含めて、自動車業界としてエネルギーの供給も考えていかないといけない。以前は自動車を開発して売るだけでよかった。将来はそれらを動かすエネルギーについても考えないといけない。エネルギー源がどこから来ているのか? 製品を作るときに、より大きなエネルギーシステムの中で使えるクルマを作ってゆくことが必要となる」
◆余剰電力により水を電気分解、水素とCO2でメタンを精製
また、グリーン電力の貯蔵と使用の可能性として、アウディブランドがオフショアで投資するプランの説明も行われた。それは沖合に作られたウインドパークだ。風力で発電された電力は通常、送電線網に送られる。
しかし、電力需要の少ないときは、あまった電力で水を電気分解して水素を製造し貯蔵する。そして電力が不足したときは、水素を燃焼させて発電する。電力を水素の形で貯蔵しようというのだ。また、一方で水素(H2)に二酸化炭素(CO2)を結合させることでメタン(CH4)を製造。こうした人工のガスをガス供給網に送ることもできるのだ。
VWの構想は、自動車を核にしながら単に時間的なエネルギーのマネジメントにとどまらず、国や地域の枠組みを超えた壮大なスマートグリッドといえる。
VWのEV戦略…自動車を核にしたエネルギーマネジメント
《鈴木ケンイチ@レスポンス》
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