直木賞作家の絵本アプリ「サーカスが燃えた」……中高生のひとり読みに
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「サーカスが燃えた」。佐々木譲/作、佐々木美保/絵、iPad対応。北海道アルバイト情報社より無料配信中。
2010年に著作「廃墟に乞う」で、第142回直木賞を受賞した作家・佐々木譲が、文を手がけた。燃えゆくサーカス小屋を目の当たりにするという、自身の幼少期の実体験をもとに、物語は紡がれる。
「サーカスがくる、やってくる 夏にはまいとしサーカスがくる」と、冒頭から終わりまで、読めば自然に節がつく文章で進む本作。主人公の8歳の女の子が、お父さんとサーカスに来て出くわした火事の光景を、リズムにのせて淡々と語る。節回しのもつ楽しさの一方で、選ばれた言葉から立ち上る“冷静さ”がチラチラとのぞく感覚は、まさしく「サーカス」に感じる一片のもの悲しさを彷彿とさせる。
絵と音楽の完成度もそれぞれ高く、3つが揃うとその相乗効果で、物語の世界がかっちり完成するように筆者は思う。ぜひ、音楽機能もオンにして楽しんでほしい。
物語のラストには、ちょうど中学生や高校生が、今まさに直面しているであろう主人公の気づきが用意されている。この物語が気に入ったら、次は佐々木譲の小説に手を伸ばしてみるのも面白い。
【e絵本】直木賞作家の絵本アプリ、中高生のひとり読みに
《寺島 知春》
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