日本の銀行とインターネットバンキングへの攻撃の現状[インタビュー]
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――最近の国内インターネットバンキングへの攻撃の現状はどうか
2010年まで減少傾向にあったが、昨年度から増加に転じた。金融庁の2012年5月の公表資料「インターネット・バンキングによる預金等不正払戻し」によれば、2011年の3月末から11月末までで、前年度の件数と平均被害額がそれぞれ約2倍になっている。警察庁の2011年12月の公表資料によれば同期間の不正送金金額が約3億円と発表されている。
――昨年8月には、NTTデータのインターネットバンキングサービスのANSERが、10月には三井住友銀行やセブン銀行を標的とした攻撃があった。日本の被害は国際的に見て多いのか少ないのか
国際比較ではまだ少ない。フィッシング対策の国際団体APWGの統計によれば、世界全体でフィッシングは月間3万件前後発生しているが、日本では100件程度だ。
――その理由は
日本語が言語障壁となっていること、日本の銀行の対策水準が高いこと、そして海外と比較してインターネットバンキングの利用者が少ないことが、日本の被害がまだ少ない理由だ。
――今後、その障壁を超えて攻撃が増える可能性はあるか
日本語という障壁を超える例を見かける。最近、パスワード詐取用の画面が、以前のような機械翻訳ではなく明らかに日本語を知っている人間が作ったと思われる例を見かけるようになってきた。また、トロイの木馬のトリガードメインリストに日本の銀行がリストアップされているケースも増えており、海外から日本をターゲットにしたスキームも出てきている。動向の注視が必要だ。
(取材協力:EMCジャパン株式会社)
日本の銀行とインターネットバンキングへの攻撃の現状
《編集部@ScanNetSecurity》
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