高校時代の学習時間が大学や就職先の満足度に影響…東大調査
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調査は、2005年に高校3年生だった生徒と保護者4,000人に対し6回にわたって実施した「高校生追跡調査」と、2006年から2007年に全国127大学を通じて回答を得た「全国大学生調査」を基にしている。8月10日、中教審高等学校教育部会で金子元久氏(同センター元教授、現筑波大教授)が報告した。
調査によると、高校1年生の6割、3年生の4割が授業外学習を「ほとんどしない」と回答。「1時間以下」を含めると、1年生の9割、3年生の5割が授業以外ではほとんど学習していないことが分かった。3年生は、進路によって学習時間に差が出ており、就職者は8割が「ほとんどしない」としたほか、大学進学者でも3分の1が「1時間以下」という結果だった。
大学進学後、高校3年時に学習時間が1時間以下の学生は、「大学卒業後にやりたいことが決まっている」「授業はやりたいことにかかわる」などの回答が低く、4年生になっても回復傾向は見られなかった。「やりたいことがみつからない」「授業に興味がわかない」などの項目は比較的高く、生活に消極的な傾向も目についた。大学4年11月時点での就職決定率も低く、「就職予定先の満足度」や「大学経験の評価」の回答でも低い傾向にあったことから、高校時代の学習時間が長期にわたって影響を与えていることがわかった。
一方、高校卒業5年後に聞いた「高校教育のあり方」については、「教科にこだわらず、幅広い経験をする機会」を7割が支持。「基礎的な学力をきちんと修得」が5割、「生徒の興味にあった勉強、部活をさせる」が5割弱を占めた。「教科の指導をより厳しく」の選択はほとんどなかった。進路別や出身課程でも大きな差は見られなかった。
調査代表者の金子氏は「現代の高校教育は、高校生の持つ潜在力を必ずしも十分に引き出していない。高校生の半分が、授業以外に自律的な学習をほとんど経験しないままに卒業している点は、将来の職業・社会生活を考えると極めて深刻な問題だ。」としている。
《奥山 直美》
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