【中小企業のIT活用術 Vol.6】モバイル化とクラウドサービスが企業にもたらすメリットとは(前編)
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■契約期間に縛られないことが敷居を下げる
「いま中小企業では、お金をかけて何か新しいことにチャレンジしようというマインドではないようです。リーマンショックから今年で5年が経ち、そのころリースで借りたシステムが償却時期を迎えてリプレースのタイミングになっています。あらためて5年のリースを契約してよいものかと考えるお客様も多いようです。一度リース契約すると、その期間中はまたお金を払い続けなければなりません」と語るのは、大塚商会 Webプロモーション部 たよれーる・MNSプロモーション課の川田晃矢氏だ。
いわゆるクラウド型のサービスならば5年間の償却・リースより緩やかだし、いつでもスタートできる。また5年間にくらべ圧倒的短期間で再検討して止められる柔軟性もあるため、中小企業にとってはクラウドサービスが1つの解となるだろう。また、そのサービス内容もさることながら、月額いくらというお金の払い方も支持されているという。「中小企業にとって物件代金が100万、200万円のリースを組むことは決して軽い話ではありません。我々は、お客様の気持ちや負担を軽くするという意味で、月額1,000円程度からでも始められる手ごろなサービスやサポートをご提供していきたいと考えたわけです」。
いま同社のクラウド型サービスメニューで特に人気が高いのは、マネージドネットワークサービス(MNS)のラインナップだという。このサービスメニューのなかには、データセンターを安価に使える「2Uハウジングサービス」や、大切なデータを安全なデータセンターに預けられる「リモートバックアップサービス」、法人向けのオンラインストレージサービス「どこでもキャビネット」、SSL-VPNを安価に提供する「どこでもコネクト」。さらに、仮想デスクトップサービス「どこでもワーク」、PC管理やトラブル対応を解決するオールインワンのサポートパッケージ「MNSクライアント支援パック」などがある。
■業務効率を改善するクラウドサービス
モバイル化とこうしたソリューションとの組み合わせによってもたらされるメリットとして、業務効率の改善が考えられる。「どこでもキャビネット」は、いわゆるオンラインストレージサービスだが、PCだけでなく複合機でスキャンした紙データやFAXデータを自動登録してキャビネット側へアップできる。これにより、出先からノートPCやiPadなどのスマートデバイスでデータを共有・閲覧することが可能だ。また、同サービスのIDを未所有のユーザー宛にも大容量ファイルを送付できる。データは逐次ウイルスチェックが行われ、アクセス履歴も残るようになっている。価格設定は、容量50GB・10ユーザーまで月額3,000円、100GB・50ユーザーまで月額5,000円、1TB・1000ユーザーまで月額50,000円とリーズナブルだ。
次に「どこでもコネクト」だが、これは端的にいうとSSL-VPNを提供するサービス。「SSL-VPNを始めようとすると、専用装置だけでも100万円規模の投資になってしまいますし、さらに固定IPアドレスのISP契約や継続ライセンスなどの経費もかかります。それをバラ売りで中小企業に提供しようというコンセプトです」(川田氏)。無駄な投資をすることなく、ユーザー側と大塚商会のデータセンターにセッションを張って、セッションあたり月額5,000円、IDあたり月額300円で、社内に向けて安全なリモートアクセスができるようになる。パンデミック対策や在宅勤務、出張先・取引先での急用など、利用できるシーンは数多くあるだろう。
月額12,000円×5ユーザー(60,000円)から、どこでも同一環境でWindowsデスクトップが使える仮想サービスが「どこでもワーク」。こちらも大塚商会のデータセンターと回線をつないで利用することになる。同社のデータセンターのリソース上にシトリックスの「XenApp」を導入し、iPad・iPhoneやAndroid端末から、Windowsの画面で作業が行える。加えて、手元のデバイスにはデータが全く残らないため、情報漏えいの心配もない。また、操作端末とクライアントPC間でやり取りするのは、画面イメージと操作信号だけでよいため、動作が高速でストレスなく使えるというメリットもある。
※後編に続く
《井上猛雄》
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