【ひとりでいけるもん!Vol.8】道ばたで鶏一羽をひとりで食べる | RBB TODAY

【ひとりでいけるもん!Vol.8】道ばたで鶏一羽をひとりで食べる

エンタメ その他
鶏一羽をひとりで食べます!
鶏一羽をひとりで食べます! 全 8 枚
拡大写真
 クリスマスがやってくる。子供はサンタさんからのプレゼントを心待ちにし、カップルは二人でクリスマスを祝うのだろう。そんな季節だ。では、独り者はどうすればいいのか。悩ましい問題だ。

 ただし答えは簡単である。負けずに祝えばいいのだ。ひとりだからとクリスマスを敵対してはダメなのだ。負けずに祝うのだ。

 ということで、クリスマスとこの連載の最終回を祝って(今回で終わりです)ひとりで鶏の丸焼きを食べに行こうと思う。スマホという文明の利器を持てばクリスマスとて仲間になるのだ。胸を張って食べに行こうではないか。ひとりで。

■大須の名物の問題点

 名古屋の大須に鶏の丸焼きを食べられるお店がある。それは「オッソ・ブラジル」というお店で、以前からその存在は知っていたけれど行けずにいた。理由は誘う相手がいなくて行くならひとりだからからである。今までの人生を振り返ってもひとりで鶏一羽を食べていた人を見たことがない。強いて言えば動物園のトラくらいだろうか。人間では皆無なのだ。

 しかし、クリスマスである。クリスマスと言えば鶏である。テレビでもケンタッキーのCMがよく流れていると思う。我々はクリスマスの鶏から逃れることができないのだ。だったらこちらから行こうではないか。ひとりだからと逃げてはダメなのだ。

 という心意気の元にやってきた大須は多くの人で賑わっていた。東京で言えば秋葉原的な場所だそうだ。件のお店にやってくると、新たな問題が発覚した。ひとりで鶏一羽は、そもそも食べられるのか? という量的な問題があるのに新たな問題。それは、その店に店内という概念がないことである。道にテーブルが並んでいる。多くの人に「ひとりで鶏一羽食べている」とバレるのだ。ますます動物園のトラに近い状況となってしまった。

■鶏越しの人々

 スマホをおもむろに取り出し、「あれ、あいつ来ないの?」という雰囲気を出しながら食券を買う。むろんひとりだから待てど暮らせど誰もこない。しかし終始、なんで来ないのかな、と首をひねりながら鶏の丸焼きの1500円を払う。二人なら一人当たり750円、三人なら500円。私はひとりだから1500円である。お店の看板の横には「クリスマス鶏の丸焼き」と書いてあった。同じ鶏なのにその華やかさが私にはない。ひとりだからだ。

 焼き上がった鶏がクルクルと回る機械の中から鶏一羽を取り出し、お店の人が食べやすいようにカットしてくれる。そのお皿を持ってテーブルに座る。道である。テーブルは道にあるのだ。鶏越しに行きかう人々が見える。急いでスマホを取り出し、「おかしいな、アイツこないのかな?」という雰囲気を出した。

 そんな雰囲気を出しつつも鶏一羽に手をつける。そして感じる幸せである。美味しいのだ。こんなにも心から「メリークリスマス」と思ったことはない。多くの人がクリスマスに鶏を食べる理由を理解した。幸せになれるのだ。ひとりでも「メリークリスマス」と思えるのだ。素晴らしいことではないか。相変わらず鶏越しに行きかう人々が見えるけれど、メリークリスマスである。皆さんご一緒に、と言いたくなるほどだ。

■めでたいクリスマス!

 鶏一羽を自分ひとりで食べていいというのは、状況を別にすれば嬉しいことだった。ひとりでは多いかと思っていたけれどそうでもない。全然行けるのだ。むしろ今後はひとり一羽欲しいと思える。だんたんと行きかう人々の目線が「羨ましい」と感じているのではないか、というプラスに変わってくる。

 途中からはご飯も注文して、鶏一羽をおかずにご飯。クリスマス感こそなくなったが、タイの屋台みたいな雰囲気になっていた。ちなみに私はタイに行くとすごく馴染む。日本人であることが間違いであるかのように馴染むのだ。

 家族の元を離れてから一番めでたいクリスマスになった気がする。これが家でひとりで鶏一羽だったら悲しくて大変だった気がする。行きかう人もパーティ仲間なのだ。素晴らしきクリスマスとなったのではないだろうか。次は七面鳥一羽をひとり食べてみたいと思う。この連載は今回で最終回だけれど。ちなみに年明けからは違う形で連載が始まる予定だ。あくまで予定である。それでは皆さんメリークリスマス!

ひとり鶏一羽
オススメ:★★★★
ハードル:★★★★
メリークリスマス:★★★★★

《地主恵亮 》

特集

【注目記事】
【注目の記事】[PR]

この記事の写真

/

関連ニュース