映画『おおかみこどもの雨と雪』  齋藤優一郎プロデューサー インタビュー後編 | RBB TODAY

映画『おおかみこどもの雨と雪』  齋藤優一郎プロデューサー インタビュー後編

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(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会
(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会 全 4 枚
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映画『おおかみこどもの雨と雪』 
齋藤優一郎プロデューサー
インタビュー後編

[インタビュー取材・構成:数土直志]

『おおかみこどもの雨と雪』
http://www.ookamikodomo.jp/


■ 映画づくりとは?

―― 『おおかみこどもの雨と雪』、『サマーウォーズ』も『時をかける少女』とどれも素晴らしい作品です。ヒットは当然とも思えますが、それでもオリジナルのアニメ映画としては、あまりないぐらいの大ヒットです。プロデューサーからはこの人気をどう思われますか?

―― 齋藤優一郎プロデューサー(以下齋藤) 
今回の『おおかみこどもの雨と雪』は本当に驚いています。ノンブランディングであり、オリジナル脚本であり、アニメーション映画であることを含めてです。
最初は「『おおかみこども』って何?」という企画ですよね。それが340万人以上の人たちに観てもらえたのは驚きのほうが大きいです。
自分たちのチャレンジが届いた、僕らが面白いと思ったことを同じように思ってもらえた。本当に、沢山の皆様との幸福な出会いを心から感謝しています。

先ほど「ホップステップジャンプですね」とありました。それは評価としてありがたいです。けれども毎回、どのようにして、細田守と言う才能に次の映画を撮らせることができるか、そして、その映画を一番いいかたちで出していけるか、それを考えるだけです。
それがチーム作りであるし、お金のかけ方でもあります。作品とチームの総合力、そして奇跡があって、もしかしたら、たくさんの人に映画を見ていただけるかもしれないと言う可能性がでてくる。そういうことがあるから僕らは映画を作れているし、その次のチャレンジをさせてもらっているのだと思っています。

―― まず興行だけでリクープを考えられているのですか?

―― 齋藤 
いや、映画ですから。映画は一度だめだったら終わりなんです。次のチャンスをもらえないんです。細田監督にバイタリティとチャレンジ精神がある限り、僕は映画を作ってもらいたいと思っています。商売が云々以上に僕も彼の映画を見たい。
それを成立させるために映画興行で勝負しているわけです。だからたくさんの人たちに見てもらって、内容的にも経済的にも評価してもらってつぎに進みたい。

映画は大きさもいろいろですし、ジャンルもアクションもあれば恋愛映画もあるし、多種多彩な作品があってこそ、その映画の豊かさが保たれているのだと思います。だから、いろんなやり方があっていいと思います。
だけど僕らはアニメーションという表現を使って映画を作って、いろんな人たちの力を借りながら興行で勝負しています。
細田監督の公共の利益にかなう作品を作りたいという精神に一番かなうのが映画だとも思います。ですから興行のなかで頑張るということなのです。

―― アニメーションは独自性の高い映像表現ではありますが、映画ジャンルのひとつでしかないわけです。その時にアニメーションはメインストリームになれるのですか?

―― 齋藤 
アニメーション表現を使おうが実写を使おうが、アクションものとかサスペンスものとか、世界中には沢山の映画があるわけです。特に、僕はアニメーション映画という非日常を通して、そこからあぶり出てきたものの未来は明るいと思っています。
僕はアニメーションが映画であることは変わらないと思うし、一方で監督も言うように実写では描けないものを描く表現手段としてアニメーションが最も優れているじゃないかとも思うわけです。
絵に落とし込むことによってプリミティブなものはさらに昇華されます。映画を作って人生をどうあぶり出すかということでは、アニメーションはもしかしたら実写よりも有効な手段なんじゃないかと思っています。


■ 今後の取り組み

―― 最後にもうひとついいですか。これからスタジオ地図の目指すものが今後さらに広がる可能性はあるのですか?

―― 齋藤 
映画は一本一本なので、まずは真摯に次の企画を考えて、たくさんの人たちに見てもらえることに集中したいなと思っています。
最近新しい事業計画を書きました。そこには「反省、一新、チャレンジの継続」と3行あります。それはスタジオ地図というよりは、プロデューサーとして僕がやっていかなくちゃいけないことの3行です。
細田監督は主体性ある監督です。だからこそ、「(自分自身)次になにが出来るのか?」と思う。当然、気持ちはあります。だけど、それをするためには、つばぜり合いできるぐらいの経験も実績も人との関係性もふくめ積み上げて、僕もチャレンジしていかないと。そうでなければ一緒に映画を作っていけなくなると思います。

―― 齋藤 
『おおかみこどもの雨と雪』での、僕の大きなプロデュースの一つはスタジオ地図を作ることでした。これは誰もできないから僕がやったんです。ピュアが詰まった企画をピュアに作れる場所を作らなければと思った。それはプロデューサーの中では、僕しかできなかったこと。この乏しい能力で「つぎなにができるのか?」と毎日考えています。

―― 期待しています。

―― 齋藤 
スタジオ地図は映画を作る場所です。けれど映画はひとりでは作れない。だからスタジオ地図をハブにしてもらって、みんなで協力して、細田監督の映画を一緒に作っていきたい。最良の作品を作るためのハブになれればなと、そうした目的もあって地図を作りました。
映画は一本一本。もしかしたら、次のチャンスはないかもしれない。だからこそ、これからも作品主義で、世界中の人たちと共有できるような面白い映画を作って行けたらと思っています。

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画像:(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会


『おおかみこどもの雨と雪』
http://www.ookamikodomo.jp/

[キャスト]
宮崎あおい 大沢たかお / 菅原文太



■ Blu-ray
2枚組 7140円(税込)
■ DVD>
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