静的解析の重要性……堅牢性・パフォーマンスを維持:スマートフォンの言語入力システム
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
Wnnの最初のバージョンは、京都大学、慶應義塾大学、立石電機(現オムロン)、アステック(現アールワークス)によって開発され、UNIX、Linux系の日本語入力システムとしてはもちろん、携帯電話やスマートフォン、ゲーム機向けの日本語入力システムとして多くの端末ベンダーやゲーム機ベンダーが利用している。オムロンは、組込み機器向けのWnnをこれらのベンダーに提供している。
さて、スマートフォンやタブレットの開発だが、アプリケーションにしろWnnのようなミドルウェアにしろ、多様な機種ごとの作り込み(カスタマイズ)、端末サイクルの短縮などが現場の課題として浮かび上がっている(もちろんコスト競争力という課題も依然として大きな存在だが)。テストやデバッグを効率化しようにも、製品の仕様が細部で異なるため、画一的なデバッグは困難である。さらに、製品のリリースサイクルありきの開発スケジュールが、エンジニアに重くのしかかっている。にもかかわらず、携帯電話やスマートフォンのような、利用者の幅が広く要求仕様を絞りにくい製品の場合、パフォーマンスなどソフトウェアの品質管理も重要課題のひとつだ。
使いにくい、反応が遅い、安定しない、といったトラブルに一般のユーザーは過敏に反応する。オムロンでは、さまざまな悪条件の元、性能や品質を落とさず、他のアプリに干渉したりパフォーマンスに影響を与えることのない開発を実践するため、開発プロセスの中でコードレビューや静的解析を重要項目と考えている。静的解析には、コードに潜むバグや問題点検出するだけでなく、コーディング基準を満たしているか、パフォーマンスを落とすような処理はないか、エラー処理や例外処理をはしょっていないか、といったコードの品質評価を行うという目的もある。
バグが少ないということは品質が高いということでもある。静的解析によってコードを実行前に評価することは、デバッグ効率や品質管理にとってプラスになるはずだ。多数のモジュールが複雑に影響しあう大規模開発においては机上デバッグはツールに頼らざるを得ない。そのため品詞管理においても静的解析ツールは必須といってもいいだろう。
コーディングルールを守って、品質検査をクリアしたコードは、その後の改修やバージョンアップもしやすくなるはずである。基本モデルから、機種ごとのカスタマイズのような作業でも、ベースとなる基本モデルのコードが一定の基準を満たしていれば、派生システムのコーディングも該当箇所の切り分けがやりやすいはずだ。
オムロンによれば、スマートフォン等の日本語入力システムの開発に、静的解析を積極的に取り入れているという。
★静的解析ツール導入事例(コベリティ):オムロン
ダウンロード URL
http://expotoday.com/event/1025/booth/29263
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