産総研、視覚障害者のための訓練システムを無償配布……ノートPCとゲームコントローラを活用
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
この技術は、視覚障害者が歩行の際に用いる周囲の音の移動や反射などの聴覚空間認知の手がかりを、3次元音響技術を用いて人工的に再現するもの。これまで、視覚障害者の聴覚空間認知訓練は、実際の生活環境のなかで行われていたが、訓練初心者の視覚障害者が恐怖心を覚えるケースや、危険をともなうケースがあった。産総研と国リハは、2003年より、“音源定位”だけではなく“障害物知覚”を合わせた訓練方法の開発に着手し、2005年に“聴覚空間認知訓練システム”を完成させたが、このシステムは購入価格が約500万円と高価、かつ装置自体が大型で持ち運びができないなどの問題があった。
新しく開発された訓練システムでは、特殊な装置は不要で、パソコンと市販のゲームコントローラー内蔵センサーで利用可能となっており、安全で効果的な歩行訓練が実現できるという。新システムは、専用ソフトウェア「WR-AOTSTM」、パーソナルコンピュータ(パソコン)、ステレオヘッドホン、市販のゲームコントローラー(広範囲測位用)で構成される。東北学院大学、東北福祉大学、国立障害者リハビリテーションセンターなどの協力を得て、開発は行われた。
視覚障害者の訓練の現場では、実際の生活環境のなかでの歩行訓練を行う前に、訓練初心者を対象としたシミュレーション訓練に使用される。今後は、継続的に訓練現場からの改善要求などに基づいてシステムの改良を行っていくとのこと。また、聴覚空間認知訓練システムを活用して訓練を実施できる指導員の養成も行う。
関喜一@産総研の聴覚空間認知訓練システム(配布ページ)
http://staff.aist.go.jp/yoshikazu-seki/AOTS/index-j.html
《冨岡晶》
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