「本当に恰好いい先輩だった」……名優・夏八木勲さんのエピソード | RBB TODAY

「本当に恰好いい先輩だった」……名優・夏八木勲さんのエピソード

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 映画やドラマの名脇役として活躍した俳優の夏八木勲さんが11日、すい臓がんのため神奈川県内の自宅で死去した。73歳だった。名優の訃報に、各方面から悲しみの声が続々とあがっている。

 夏八木さんの最後の仕事となったフジテレビ系連続ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」や、15日から開催されるカンヌ国際映画祭コンペティション部門の出品作「そして父になる」など、晩年の夏八木さんの出演作でメガホンをとった是枝裕和監督は、自身の公式サイト上で故人を振り返った。ドラマ「ゴーイング~」の撮影現場で一度体調を崩した夏八木さんだが、「芝居がやりにくくなると申し訳ないので、共演者のみなさんにも内緒にしてほしい」との本人の要望で、本当の病状は伏せたまま撮影を再開・続行したのだそう。そしてドラマの最終回、夏八木さんは自身の演じる父親役の葬式シーンで、「良い予行演習になるから」と明るく笑い、画面には直接映らない棺の中のシーンも自身で演じたという。

 また、そうした体調にあっても撮影現場ではスタッフや共演者たちに常に気を配っていた夏八木さんの姿が印象的だったと語る是枝監督。今年1月、それが最後の再会だったという食事の席では、夏八木さんから「撮影の途中で倒れてしまい、ご迷惑をおかけしました」と謝られたというエピソードも紹介し、「深々と頭を下げられたその姿に、プロの役者としての厳しい覚悟を感じました」とつづった。

 ドラマ「将太の寿司」で共演した俳優の小沢仁志は、13日に更新した自身のブログで撮影当時の夏八木さんとの思い出を振り返った。撮影時、夏八木さんと小沢のキャラクターが“濃すぎ”たことでNGが出され、小沢は不服として監督に食い下がったが、夏八木さんから「気にするな、個性がない奴が悪いんだ。だがな、奴らに合わせないと作品のバランスが悪くなるなら、キャリアの長い奴が歩み寄る」とたしなめられたのだという。「本当に恰好いい先輩だった」と故人を偲んだ。

 また、タレントの志村けんは、夏八木さんが主演した園子温監督の映画「希望の国」を偶然、前日に見ていたというタイミングで触れた訃報に、「なんか信じられない。素晴らしい作品でした。ご冥福をお祈り申し上げます」と、惜しんだ。

《花》

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