17万人超の音楽ファンが集結!「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」会場で3キャリアの通信環境を分析
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
今回は8月2日・3日・4日の3日間、茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園で開催され、約17万7,000人の来場者を集めた野外音楽イベント「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」(以下:RIJF2013)の会場で、大手通信キャリアが移動基地局車により提供する通信エリアの状況を取材、スマートフォンの速度計測調査も実施した。
■LTE対応が進む大手通信キャリアの移動基地局車
元はといえば、大規模災害などが発生した地域で基地局における通信機能が遮断された場合など、救急時に駆けつけて迅速なエリア復旧を行うために開発された移動基地局車だが、最近では通信量の多いデバイスであるスマートフォンが普及を拡大してきことからも、大規模な野外イベント会場などでのエリア対策を目的とした出動の機会が増えてきているという。
今回「RIJF2013」の会場にはKDDI(au)、イー・アクセス、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルが、LTE通信に対応する移動基地局車を現地に派遣していた。なお、RIJFの会場には、昨年実施のRIJF2012から全キャリアの移動基地局車によるサービスが出そろっている。以下に各キャリアごとの取り組みを紹介していこう。
■KDDI(au)
KDDIはauのスマートフォン、携帯電話を利用する来場者のため4G LTE/3G対応の大型タイプの移動基地局車を、会場のメインステージとなる「GRASS STAGE」と「LAKE STAGE」近くにそれぞれ1台ずつ、計2台の車両を送り込んだ。車両の設置を担当したKDDIの星川雄大氏に、同社での移動基地局車の取り組みについて話を聞くことができた。
KDDIでは2006年頃から大規模災害対策として、移動型基地局車の配備に力を入れてきた。野外イベントでのエリア対策についても5~6年前頃より取り組みを始めている。今夏も全国各地のイベントで移動基地局車によるサービスを提供する予定で、Webサイトでは2013年夏イベント対策のページも立ち上げて、エリア品質向上のための詳しい活動内容を一般公開している。
こうした移動基地局車によるエリア確保のニーズが高まっている背景には、友人どうしの待ち合わせなど音声通話での用途だけでなく、イベント関連の情報をWebで検索したり、FacebookやTwitterなどSNSサービスを使ってイベントでの体験を共有するために、スマートフォンを活用するユーザーが増えていることが挙げられるという。
現在KDDIは、大型・小型車両を含めて20台の4G LTE対応車両を保有し、全国で稼働させている。「RIJF2013」の会場に送られた2台の移動基地局車は2GHz帯と800MHz帯のふたつの周波数をカバーし、音声通話と4G LTE/3Gデータ通信サービスを提供していた。音声通話では同時に200人弱からの接続に対応できるキャパシティを備えている。移動基地局車によるサービス提供について、ユーザーからの反響や手応えは非常に良いという。またイベントの運営者や会場からの依頼も増えてきているとのこと。夏のイベントラッシュが終わっても、秋冬にかけて続く大規模イベントに、同社の移動基地局車が出動する機会も大いに増えそうだ。
■イー・アクセス(EMOBILE)
イー・アクセス(EMOBILE)では最大75MbpsのLTE通信と3G通信をサポートする4台の移動基地局車を会場の主要なポイントに配置し、エリア展開を図る。足回りに優れる小型タイプの基地局車を活用している点が同社の戦略的な特徴だ。
同社では昨年から先行してLTE対応の移動基地局車によるサービスを開始しており、今夏も全国で開催される大規模な夏のイベントへ多くの出動機会を設けていると、現場の設営にあたっていたイー・アクセスの技術者である山本竜也氏がコメントしてくれた。
■NTTドコモ
NTTドコモは2010年開催の「RIJF2010」から本イベントへの基地局サービスを提供してきたが、今回のイベントではLTE通信「Xi」/3G対応の移動基地局車を計2台配備。カバーする周波数帯域は2GHz/800MHz。一台の大型移動基地局車はイベントの始まる前日に北海道での仕事を終えて応援に到着。さらにもう一台の移動基地局車には、アンテナを地上約20mの高さまで持ち上げ、より広範な通信エリアをカバーできる高所作業車を使っていた。
ドコモも従来から災害対策用途をはじめ、移動基地局車によるエリアサービスに力を入れてきたが、今後も車両スペックの向上や台数確保にも力を入れていく考えだ。
■ソフトバンクモバイル
ソフトバンクは全4台の大型タイプの移動基地局車を会場に配置。うち2台はアンテナを約20mの高さまで上げられる高所作業車を使用していた。なお同社では現在、大・中・小型タイプを合わせて100台の移動基地局車と衛星エントランス対応の可搬型基地局を200台所有している。可搬型基地局はそのうち100台が車載可能なタイプになる。
大型タイプの移動基地局車は全国に36台を配備し、昨年からサービスを開始した「SoftBank 4G LTE」や「プラチナバンド」への対応を進めている。今年の夏までに合計34台、年度内に全車両で対応が予定されている。また一部大型イベントでは、iPhone 5など「SoftBank 4G LTE」対応機種で、イー・アクセスのLTEネットワークが利用できる「ダブルLTE」を実施予定だという。さらに大型タイプの車両にはWi-Fiアクセスポイントも同時に搭載して、トラフィックを分散させる方策も採っている。
移動基地局車のタイプはイベントの規模や立地条件などにより、都度最適な種類の車両を手配し、周辺基地局の調整を行ないながら高品位な通信エリアの提供を図っている。今回の会場に手配された基地局では、「SoftBank 4G」で利用される2.5GHz帯に関してはカバーしていないとのことだった。会場内で4G通信可能な場所もあったが、これは通常の基地局の電波を受信していたものと思われる。また会場条件によっては移動基地局車が設置できないこともあるので、このような会場での通信を確保するため、背中にWi-Fiルーターを背負った「Wi-Fi忍者」を出没させ、Wi-Fiスポットを展開するユニークなサービスも行っているという。
《山本 敦》
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