新しいクラウドストレージ体験を提供するBox Notes…11月に日本オフィス
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また、現地でのインタビューで日本法人の設立や市場戦略について聞くこともできた。
●Box Notesでセキュアストレージサービスにドキュメント共有管理機能を追加
Boxは、米国でエンタープライズユースを中心に事業を拡大しているクラウドストレージサービスのプラットフォームを提供する企業だ。米国ではすでに18万社以上がBoxのサービスを利用しており、フォーチューン500社の企業のじつに97%の企業がなんらかの形でBoxのプラットフォームを利用している。
Box Notesは、複数のユーザーと共有したドキュメントに対して、グループユーザーが同時に編集などが行える機能を持ったクラウドストレージサービスだ。類似のサービスに「EtherPad」などがあるが、Box Notesの特徴は、共有し、編集などが行えるファイルは、図、表、画像などのコンテンツが混在できることだ。また、同時編集しているユーザーが修正箇所に合わせてアイコン表示されるなど、視覚的なユーザーインターフェイスにも工夫がされている。
Box Notesにより、Boxは単なるクラウドストレージからクラウドドキュメントの管理ツールとしての機能が強化されることになる。
●Box成功の鍵はセキュリティ
また、同社は、日本法人を立ち上げ、11月にはオフィスをオープンし本格的に日本市場に進出を図ろうともしている。そのボックス・ジャパン 代表取締役社長 古市克典氏、および米国Box COO Dan Levin氏に、「BoxWorks 2013」の会場で話を聞くことができた。
Boxが成功しているのには2つの理由がある。
ひとつは、コンシューマ向けのクラウドサービスを展開するだけではなく、それらのサービスプロバイダやSIerなどがクラウドストレージを簡単に利用できるようにするプラットフォームを提供するビジネスであること。もうひとつは、セキュリティ機能に力を入れており、類似サービスとの差別化に成功しているためだ。
Boxのストレージデータは、まずSSLによって通信経路が暗号化処理される。当然ストレージ上のコンテンツも暗号化され、さらにその鍵も暗号処理されている。加えてストレージ上のコンテンツには7段階のアクセス制御レベルが設定可能であり、企業内の部署や役職などによってアクセスできるファイルやその操作内容を切り替えることだできる。
マルチユーザー、マルチデバイス(スマートフォン、タブレット等)環境でのセキュリティを確保するため、ログインやデータへのアクセスには2要素認証技術も取り入れられている。認証方法は、スマートフォンや携帯電話にワンタイムパスワードを送信する方法となり、オクタ、ピング、TwilioなどのAPIによって実現される。
また、同社が米国3か所に設置するデータセンターに対して、大手セキュリティベンダーがペネトレーションテスト(侵入テスト)を実施したところ、侵入が成功しなかったともいう。
●ボックス・ジャパンの戦略
Boxのサービスはもともとコンシューマ向けに始められたそうだが、これらのセキュリティ機能の高さから、企業での利用が進んでいる。その業界はヘルスケア、教育、建設業(設計図などを扱う)、法律事務所、銀行、メディアなど多岐にわたる。
古市氏によれば、日本市場進出にあたり、現在Boxの日本語化が進められており、来円の4月には開発を終え、4~5月にはローンチイベントを予定しているという。日本での事業は、米国での実績を生かし、おもにエンタープライズ向け(B2B)の営業活動を展開する予定だ。すでに複数の日本企業と採用の話が進んでいるそうで、広くパートナーシップを作り上げていく戦略だという。
ボックス・ジャパンとしては、「欧米企業は、ある程度のリターンや効果が見込めれば、多少のリスクを許容していく考え方がありますが、日本企業はやはりミスは許されない環境があります。(古市氏)」としつつ、米国での実績をベースにセキュアなサービスで日本市場を開拓していくとする。
とはいうものの、米国での創業当時はコンシューマ向けサービスとして始めているので、10GB無料というサービスは今後も維持される。これは、クラウド環境やモバイルデバイスがビジネススタイルにも影響を及ぼし、サービスのレベルで、コンシューマとビジネスの区別がつきにくくなり、コンシューマサービスからビジネス利用というマーケティングの動線も重要という認識からである。
●Boxの考える日本市場とモバイル市場
Boxにとって海外戦略のおける日本市場はどのような位置づけにあるのだろうか。この質問に、Levin氏は「boxの海外展開は2年ほど前に始まりました。最初はロンドンに拠点を作り、パリ、ミュンヘンへと欧州への市場に進出しました。欧州はビジネスのやり方が米国と近い部分がありますが、私自身が日本でのビジネスを経験しているので、日本市場の難しさは理解しています。しかし、世界で2番目といわれるIT市場を持つ日本はやはり重要な国のひとつです。」と答える。
アジア・太平洋地域で、日本の次に進出を考えているのはオーストラリアやニュージーランドだそうだ。
海外展開のほかに同社が考える重要戦略は、モバイルマーケティングである。これからのビジネスツールは、モバイルデバイスからのアクセスが必須であり、かつファイルの種類も選ばないようにしなければならない。セキュリティとリッチコンテンツを戦略の軸とし、モバイルマーケットでも成功を目指す。なお、前述の「Box Notes」は、その戦略を具現化したソリューションのひとつといえるだろう。
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