実用コストを最大50%低減したデータセンターの秘密……NTT Com東京第6データセンター
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■入り口からサーバルームまで、7段階のセキュリティで情報を守る
その都市型データセンターは、東京都北区某JR駅から徒歩10分弱程度の、駆けつけやすい便利なロケーションにあった。住宅街の中にひっそりと佇んでいるが、近くに寄って建屋を眺めると、あきらかに通常の構造物と異なることが分かる。野太い鉄骨の支柱がむき出しになった頑強な建屋は、いかにも秘密基地のような様相を呈しており、言われてみれば、なるほど確かにデータセンターという雰囲気をかもし出していた。
エントランスに入ると、受付にて写真付きの本人身分証明(事前にWebで入館申請をしておく)と、さらに生体登録を求められた(取材陣は特別にパスされた)。チェックについては後からも紹介するが、サーバルームの個別ラックシリンダ錠まで、合計で7段階の多段階セキュリティがかけられている。ISO27001(ISMS)も取得済みだ。
データセンター自体は、耐震構造の「大型オフィス棟」と免震構造の「サーバ棟」に分離されている。エントランス側やオペレーションルームはオフィス棟に属しており、ここにはユーザーがさまざまな作業を行ったり、BCP対策などを練れるオフィスを構えている。最大3000ラックを収容できるサーバ棟に入るためには、さらにセキュリティゲートで厳重なチェックを受けなければならない。
■サーバ棟の4種類の免震構造で、東日本大震災クラスの地震でも安全
ゲートから続くセキュリティゾーンを渡ると、静謐な空間にコツコツと足音が無機質な響きを奏でた。いよいよサーバ棟だ。まず案内されたのが、地下の免震構造部。このサーバ棟は東日本大震災クラスの地震にも耐えうる免震構造ビルになっている。建物の基礎は、N値と呼ばれる地盤強度が60以上の場所(一般的な高層ビルで50ぐらい)に、20mもの深さの杭を打って、基礎を支えているという。基礎と杭の間には免震装置が挿入され、建物への衝撃を最大80%低減させることが可能だ。もちろん、受電設備、非常用発電機、空調室外機などの主要設備はサーバ棟に入っている。また各フロアーが揺れても、サーバのHDDが誤動作しないように設計されている。
具体的な免震装置は4種類ある。建物の加重を支え、地震の揺れを建物に伝えないようにする「天然ゴム系積層ゴム支承」と、積層ゴムの中心に圧入した鉛プラグにより揺れを減衰させる「鉛プラグ入り積層ゴム支承」が建物周囲に配置され、さらに凹面の皿の上をローラーが転がって横揺れを低減する「直動転がり支承」と、オイルにより横揺れを吸収する「オイルダンパー」も配置されている。
電力系統も万全だ。このデータセンターの5階には日本初となる巨大なロータリーUPS(無停電電源装置)が設置されている。これは非常用発電機とUPSが一体化した高効率な次世代システムだ。システムは発電機/モータと、巨大なフライホイール、ディーゼルエンジンで構成される。通常時は発電機/モータともにフライホールが 7000rmpで回り続けており、回転エネルギーが蓄えられている。
万が一停電が起きても、フライホイールの慣性力によって発電機/モータは10秒間ほど回り続ける。さらに10秒後までにフライホイールがディーゼルエンジン側とクラッチでつながり、エンジンが起動して発電機を回し続ける仕組みだ。ディーゼルエンジンは48時間ほど無給油で運転できるが、さらに燃料が必要な場合には業者から優先的に供給してもらう契約を結んでいるという。このロータリーUPSによって、24時間365日にわたり安定した電源供給を実現。さらにバッテリが不要になり、省スペース化された分だけ収容ラック数も多くなった。
《井上猛雄》
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