新機能「2画面ワイプ撮り」の実力は？……パナソニック「HC-W850M」を試す 2ページ目

■高性能エンジンが実現した「2画面ワイプ撮り」や「スーパースロー撮影」

　本機の高機能を司るのがパナソニック独自の高速エンジン「クリスタルエンジンPRO＋」だ。従来から搭載する高速エンジンの演算スピードは、新開発のエンジンでは約1.5倍速くなった。加えて本機のために開発された有効画素数約603万の「新・大型セル＆裏面照射型高感度MOSセンサー」により、鮮やかなクオリティの映像撮影を実現している。本機の個性を際立たせる「2画面ワイプ撮り」や「スーパースロー撮影」などの機能は、これらパナソニック独自の技術によって下支えされている。

　「2画面ワイプ撮り」を紹介しよう。本機には開閉式のモニター部分の外側に1/4型MOSセンサーを搭載する回転式サブカメラが搭載されている。サブカメラは横方向に約240度回転する機構になっており、メインカメラで撮影した画面の中に、小窓（ワイプ）の映像を同時に記録して楽しむことができる。

　サブカメラを撮影者の側に向ければ“自分撮り”ができる。またメインカメラと同じ方向に向ければ、サブカメラで全景を押さえながら、メインカメラで被写体にズームした画も同時に撮るといった、これまでのビデオカメラで撮れなかった映像が記録できる。

　今回は旅行の際などの活用事例として、観光スポットを撮りながら自ら解説を加えてビデオレターをつくるイメージでワイプ撮りを試した。子画面は大/小サイズや表示位置が変更できるほか、サブカメラ側の映像もホワイトバランスや明るさ、色合いなどが細かく調整できる。サブカメラの画角が37.2mmとそれほど広くないため、被写体にフォーカスしながら、自分がサブカメラのフレームにきちんと入っているかケアしながら撮るのに少しコツが要るものの、慣れてしまえば色んな用途に使えそうな、クリエイティビティを刺激する機能だ。

　「スーパースロー撮影」も本機の見どころのひとつだ。「MP4/iFrame（28M）」の記録時に撮影モードは「スローモーションモード」を選んで、通常1/2倍速のスローモーション撮影ができる。モードは「区間スロー」と「常時スロー」の2つ。「区間スロー」では1回のショット内に、3回までのスーパースロー撮影ができるモードで、タッチパネルに表示されている「SLOW」アイコンをタッチしている間は120fps（1/2倍速）のスーパースローで撮影される。撮影した動画は本体のモニターで、補間フレームを挿入した1/4倍速のスーパースロー再生ができる。PCなど外部機器で再生する場合は1/2倍速のスロー再生になるが、もし外部機器でも1/4倍速のスーパースローが楽しみたい場合は、「スロー区間速度変換」機能を使えば、スーパースローモードで記録したシーンを1/4倍速に変換したファイルが生成され、PCなど他の機器でも再生できるようになる。

　新開発の裏面照射型高感度MOSセンサーは、同社従来機との比較で1画素あたりのセルサイズが35％拡大され、有効画素数も46％高められている。集光効率が1.3倍ほど高まったことから、昼間の映像はより明るく色鮮やかに撮ることができる。また暗い場所での撮影にはより効果が高く、多くの光が取り込めることで、手ブレを抑えながら高精細な映像が撮れる。メインカメラのレンズは29.5mmまでのワイドな画角をカバーしているので、背景を広く映し込んだポートレートムービーにも最適だ。

■真っ暗な場所も撮影できる「ナイトモード」

　暗い場所での撮影をバックアップするもうひとつの強力な機能が「ナイトモード」だ。極端に真っ暗な場所でも、赤外線LEDを使って鮮明で滑らかな映像を記録する。撮影設定メニューの中にある「ナイトモード」を選択すると、赤外線/カラー/切の3つの設定が選べる。「ナイトモード（カラー）」では灯りが少なく暗い場所でも、被写体の色あいをきちんと再現した映像が記録できる。ただし撮れる映像が"コマ落とし”のようにカクカクしてしまうため、どちらかと言えば動く被写体よりも止まっている被写体を、暗闇の中でも撮りたい時に有効といえる機能だ。「ナイトモード（赤外線）」は最低照度約1ルクスの暗闇の中でも撮影ができる。カラー動画ではないが、こちらは通常と変わらない滑らかな動画撮影を実現している。パナソニックでは、寝ている赤ちゃんの寝顔を、起こさないで撮るのに最適な機能としてアピールしている。

「ワイプ撮り」をテスト

スローモーション再生（1/2倍速）

スローモーション再生（1/4倍速）