「『障害者』も放送禁止用語に」……乙武さん、“冗談”を本人が危惧 | RBB TODAY

「『障害者』も放送禁止用語に」……乙武さん、“冗談”を本人が危惧

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 「今日から、『障害者』も放送禁止用語リストに追加されるらしい」---。これは1日に作家の乙武洋匡さんがTwitterで発したツイート。もちろん、エイプリルフールの冗談ツイートだ。しかし、その“冗談”があながち冗談とも言い切れない空気がある、と乙武さん本人は危惧している。

 乙武さんによる冗談ツイートは、さらにこう続く。「これから身体障害者は、『身体に恵まれない方々』が正式名称になるのだとか。僕としては恵まれたと思ってるんだけどなあ…」---。

 このツイートはまたたく間に拡散され、発信から約6時間後には約6000件リツイートされるなど話題に。そして、この“冗談”にだまされたという人の声も少なからずあがった。そしてこの“冗談”に対する反発の声もまた少なくなかった。

 いたずら好きで知られる乙武さんだけに、こうしたフォロワーたちの反応に「むふふ」とほくそ笑むが、その一方で、自身が発信した冗談が、現実のものとなっても不思議ではない現状に危惧している。

 「障害者」という語はこれまでにも度々議論の的となっている。特にその“害”という漢字がマイナスのイメージを与えるとして、平仮名にして「障がい者」としたり、あるいは「障碍者」「障礙者」と表記を改めるケースも多い。その善し悪しは置いておくとして、乙武さんはこうした表面的な対応について「臭い物に蓋」をするものだとして否定的な意見をかねてより示している。表面的にその名称・呼称を変えるだけでは、障害者を取り巻く問題は何も変わらない。「障害者」の名称をめぐる議論が活発になった当時から、そのことを訴え、名称などでなくもっと本質的な問題に目を向けるべきだとの立場をとってきた。

 以前にも自身のTwitterで、「『躁うつ病』という言葉が、いつの間にか放送自粛用語になっていることを初めて知った。現在は、『双極性障害』と言うのだそうだ。この表現が社会で正しく理解されるまでに、どれくらいの時間を要するんだろう。定着した頃には、また『差別用語だ』と言われかねない気もする…」と、現状を憂う発言している。こうした“言葉狩り”とも言える状況は現在も続いている。

 今回の乙武さんの冗談ツイートにだまされた人が多かったひとつの原因は、「そうなっても、おかしくないな」と思ってしまう状況を人々が感じていることにあるといえるだろう。しかし、また同時に多くの人たちが、その状況に違和感を示してもいるようだ。乙武さんは、現状を危惧するとともに、次のようにつぶやいている。

 「ただ、あのネタの内容に対して、多くのみなさんが反発してくださったことが、せめてもの救いです」---。

《花》

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