アジアから世界にイノベーションを発信する……LINE森川社長、ジェリー・ヤン氏らとトークセッション 2ページ目 | RBB TODAY

アジアから世界にイノベーションを発信する……LINE森川社長、ジェリー・ヤン氏らとトークセッション

エンタープライズ 企業
LINE 代表取締役社長の森川亮氏
LINE 代表取締役社長の森川亮氏 全 8 枚
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■テクノロジー産業の起業家が活躍できる黄金時代がやってきた

 続いてスピーチを行ったジェリー・ヤン氏は、1995年にデビッド・ファイロ氏とともにYahoo!を共同設立した人物だ。現在はテクノロジー分野を中心とした投資会社であるAME Cloud Venturesをシリコンバレーに設立。スタートアップ企業にフォーカスしながら、EvernoteやAny.DOをはじめ、クラウドやビッグデータを取り扱う企業など、データ指向型のビジネス領域を中心に投資支援を行っている。

 自身の投資家としてのアプローチについて述べたヤン氏は、「大切なことはもちろん、投資した企業を成功させ、儲けさせることであるのは間違いないが、私たちは長い目で見た時に、その投資先が社会にもたらす貢献度のインパクトも重視している」とした。

 テクノロジー産業の現状については「今がとても良い黄金時期」であると述べる。その理由として、起業家が少人数で動きながら、ユーザーデータ志向のスピーディーなビジネスを立ち上げられる黄金時代だからであるとした。LINEのサービスをコンシューマー向けサービスの代表的な成功例として称えながら「古いビジネスモデルの模倣ではない、まったく新しいコミュニケーションサービスが起きている」とコメント。コンシューマーとエンタープライズの両分野で革新を引き起こしていると語った。

 エンタープライズ向けのソフトウェアも、ビッグデータ解析の手法を活かしながらユーザーの使い勝手を高めていくことで新たなカテゴリーのサービスが生まれつつあると指摘するヤン氏は、「制作者も小規模な投資を元に、オープンソフトを使いながら簡単にサービスを開発できる環境が整ってきた。アメリカでは農業分野であったり、医療ケアや仮想通貨の分野がいま注目されている。かつては仮想のものだったアイデアが次々に形をとりはじめている。古い仮設がもはや有用でなければ捨てるべき。世界でいま抜本的な変化が起きつつあり、それは近い将来に人間の生活へ大きな変革をもたらすだろう。私も非常にエキサイトしている」とコメントする。

 投資先を見定める際のアプローチについても触れ、「仮説をベースにしたアイデアやひらめきも拠り所にしているが、実際に起業家本人に会って、その人となりをみることが一番大事だと思う。サポートしたい起業家であるかという基準も重視して投資を決定している」とした。

 ヤン氏のコメントに対してウィルシー氏は、「投資家は起業家に対してイノベーションを強制することはできない。起業家は文化と環境をつくってあげるべき立場にある者。上手くいけば、そこから思わぬ革新が生まれてくるはずだ。大企業に発展するとセクションの細分化が生まれて、いつしか風通しが悪くなってくるものだが、起業家にとっては企業内構造の変革にも助力しながら、グループ間の融合をサポートすることも仕事のうち。これは私がいつも若手のスタートアップ企業にアドバイスしていること」と応えた。

 森川氏は「イノベーションが生まれやすいマインドを企業内部にどうつくっていけるか、起業家や経営者の生き方に直結していると思う。企業に集まる人は、大きく分けて“何かを生み出したい人”と“享受したい人”の2つに分かれる。経営者としては生み出したい人をできるだけ多く集めて、彼らが活躍しやすい環境をバックアップしてあげることが責務」と述べた。
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《山本 敦》

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