【浅羽としやのICT徒然】第15回 最近話題のNFVについて考える
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前述のように通信事業者によるNFVの推進は、Googleのようなネットサービス事業者がSDNを推進しネットワークの仮想化を進めようとしているのとは好対照の動きになっています。つまり、サービスレイヤを自らのビジネスに取り込もうとしている通信事業者とは対照的に、ネットサービス事業者は、自分たちのサービスを届けるための通信部分のインフラをより安価に、かつ、自由にコントロールしたいという思惑でSDNを推進している、と見ることができるからです。今後はサービスレイヤを取り込もうとする大手通信事業者vs通信レイヤを取り込もうとする大手ネットサービス事業者という構図が対立軸としてますます明確になって行くのでしょう。
一方、米国では「ネット中立性」の議論が再び活発になって来ています。ネット中立性とは、アクセスラインを独占している大手通信事業者が、アクセスラインを持たない新興のネットサービス事業者よりもビジネス上有利にならないように、通信事業者に規制を課すよりどころとなった考え方です。しかし、ネットサービス事業者が大きくなるにつれ、安い接続料で通信事業者のインフラに大量のトラフィックを流し込んでくるようになると、ネットサービス事業者は負担すべきコストを通信事業者側に押し付けているという、通信事業者側の主張も受け入れられるようになってきました。実際、今年1月に米連邦通信委員会(FCC)のネット中立性規制について、ベライゾンの主張が認められ、一部無効という判決も下されています。
ネットサービス事業者が強大になるにつれ、こうした従来の規制の見直し議論も今後活発化して行くことは間違いありません。技術の規格化と法規制の両面での、通信事業者とネットサービス事業者の覇権争いはどういう方向に向かって行くのでしょう。しばらくは目が離せない状況です。
●筆者プロフィール:浅羽としや/IIJで、1エンジニアとしてバックボーンNWの構築や経路制御などを担当し、CWCで、技術担当役員として広域LANサービスの企画・開発に従事。現在、ストラトスフィアで、社長としてSDNの基盤ソフトウェアのビジネスを推進中。
《浅羽としや》
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