【WTP 2014】ノートPCからウェアラブル端末まで見据えた非接触給電システム「Rezence」の展望
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A4WPは2012年に設立された団体で、現在の会員は100社を超える。「位置合わせの自由度が非常に高い、非接触給電のエコシステムを作ることが目的(グライスキ氏)」で設立され、2013年に消費者向けのブランドとして「Rezence」を発表。ここで使われているのは磁界共鳴方式と呼ばれる技術になる。技術の標準化を進めるにあたっては、各国、各業界の標準化団体とリエゾン関係を結んでおり、日本においては「ブロードバンドワイヤレスフォーラム(BWF)」との関係を構築しているとのこと。
■1W~50Wまで幅広い電力に対応していく
Rezenceについては機器間の相互接続性を確認できる認証プログラムが立ち上がっており、現在、スマートフォン/携帯電話向けの仕様としてBSS(Baseline System Specification)1.2をすでに確定している。BSS 1.2では送電側の給電能力が10~16W、レシーバー側の受電能力が3.5~6.5Wとされている。2014年度中に確定を目指して検討中のBSS 1.3では、給電能力を最大50W、受電能力を最大30Wに拡張し、タブレットやラップトップに対応していく。そして来年以降は市場のニーズを収集している段階としながら、BSS 1.4の検討もすでに行っており、ここでは逆に1W以下の低電力への対応を検討しているという。これは、ウェアラブル端末など今後普及してくる新しい機器への対応を見越しているとのことだ。
BSS 1.2~1.4にかけてグライスキ氏は、「位置合わせの自由度が高いこと、一つの充電器が複数の機器を充電できること、Blutooth Smartを活用して信号制御を行うこと、などの考え方は共通している」とした。50Wを超える電力の扱いに関しては「技術的に大きな障害があるわけではない。それよりも各国の法規制などの問題が大きく、慎重に検討しているところ」という。また、Rezenceが採用する磁界共鳴方式では、充電器側(Power Transmitting Unit/PTU)とレシーバー側(Power Receiving Unit/PRU)それぞれの共振装置であるレゾネータ(コイル)部分が非常に重要な要因となる。そのため、「BSSは、PTU、PRU各ユニットの回路全体について規定するものではない。レゾネータの部分において、いくつかのパラメータを規定することにフォーカスしている」。グライスキ氏は、その既定の中で重要なものとして利用する周波数を挙げた。具体的には、非接触で電力を給電する部分は6.78GHzを、情報のやり取りをするコントロールのプロトコル部分は2.4GHzを使う。スマホ・タブレットといった製品ではすでにBlutoothが普及しており、その仕組みを最大限活用することでコストダウンを図る狙いもある。
■複数端末同時給電の優位性をアピール
非接触給電システムとして、日本ではすでに「Qi(チー)」という規格が先行しており、スマホなど対応製品も多数販売されている。しかしまだ一般に広く普及しているとは言えない状態。グライスキ氏は、Qi規格が採用する電磁誘導方式を、非接触給電の第一世代の技術とし、「非接触給電の市場はまだ非常に初期のフェーズ。今後次世代の技術として磁界共鳴方式がマーケットをドライブすると期待している。2014年から2015年にかけて普及が進むとみている」と述べた。グライスキ氏は、「A4WPが策定しているRezenceは、磁界共鳴方式を用いて、幅広い機器に対して同時に電力供給できる唯一の技術である」とRezenceの優位性をアピールして講演を締めくくった。なお、WTPと併設で行われている専門展ワイヤレスジャパンに出展しているクアルコムのブースでは、Rezenceの給電デモが行われている。
《白石 雄太》
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