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関谷:ここから未来の話にいきたいのですが、将来一番必要だと感じていることはありますか?
清水:ShowNet でも苦労しているのですが、各機器の大きさ、奥行などが各社の思想で、まちまちです。同じラックに載せると当然デコボコしますし、装置によってフロント配線だったり、リア配線だったり。ものすごく基本的な課題ですが、この辺りが整理されていくことが将来的に求められると思います。
関谷:だとすると、統一規格が必要になってきますか? いまだと幅だけ収まれば何でもいいや、ぐらいの勢いで機器が作られていて、困ることも多々ありますよね?
清水:困りますね。幅は決まっても、配線の奥行は気にされていないです。表側にマウントする際に、どのくらいの奥行で済むのかも装置によって違いますし、裏側も電源ケーブルが出ているときに長い装置だと扉に当たっ
てしまいます。
関谷:そもそも扉で当たってしまうのは問題ですね。日本のように囲まれたラックじゃなくて、アメリカのようなオープンラックだったらよいのでしょうけど。海外だと2ポストのラックが多いですね。これだといろいろなことを気にせずに済みます。外気空調もだいぶ流行してます。まだ日本では少ないですが、データセンタ周りの製品、ソリューションの事例はありますか?
伊藤:FacebookさんやGoogleさんは外気空調で、許容範囲ギリギリのところで動かすらしいですけれど、日本では積極的に冷やすのが一般的です。室温を許容範囲内におさめても、警報を出す機械がたくさんあります。毎年、ShowNetでも暑いって悲鳴を上げる装置が必ずいますから(笑)。
関谷:短期間のShowNetの準備で、毎年多種多様な機械をラックに詰め込んでいますが、何か未来に向けて言いたいことはありますか?
伊藤:早く積んで、早くバラせるようになって欲しい(笑)。悩まずに積んで、悩まずにバラしたい…。清水さんの話にもあったように、幅しか統一されていませんから。奥行や重さは、あまりケアされていないので困っています。将来的には、悩まずにラックにポンポン自由にはめられる、そういう形になればいいなと思います。流行の「OCP」(Open Compute Project)【★脚注1】みたいなコンセプトで…。OCPの規格は、特に大規模事業者で求められるでしょう。あれだけ多くのサーバを動かせば、1時間に何台という割合で壊れることもあります。素早く交換する必要性が高いです。
関谷:やはりShowNetで感じている積みにくさ、降しにくさは、他の場所においてもメンテナンス性という観点では本質的課題なのですね。OCPのようにラック規格が統一してくると、今度は電力管理やファシリティマネジメントもやりやすくなるはずですね。 ラック単位で消費電力も分かるし、どこに何があるのか検知できる。そうなると、ネットワークでSNMPを収集する感覚で、マウントされているものをすべてなめるように検知できます。
伊藤:そうですね。いまの障害検知は装置から発報するか、外部からモニタリングするしかないと思いますが、電気・機械的には消費電力の変動があるはずです。たとえばラックの中でどの装置が壊れそうか、消費電力等の変化から検出することができます。過負荷で消費電力が上がれば、空調コントロールと連動させ、冷気を強制的に送ることもできると思います。
関谷:なるほど。OCPには期待が持てるわけですね。大規模事業者だけでなく、エンタープライズでも便利だと思います。まだ始まったばかりなので、日本で流行るかどうか分かりませんが、今年のSDI ShowCaseには出てくるので、来場者は興味深く見る方が多いかもかもしれません。
伊藤:エンタープライズ系の場合、すごく大きな装置が必要となっても、ファシリティ面の様々な制約から使えないことが起こりえます。なので、OCPのコンセプトはすごくリーズナブルだと思います。OCPと同じようなコンセプトで、何かエンタープライズ向けのものが出てくれば、3年後には私もShowNetから心おきなく引退できるのではないかと(笑)。
関谷:まだ現状ではファシリティ面の課題が課題のまま残って進んでいるような気がしますね。仮想化、高密度化、小型化、省電力化など。
清水:ファシリティ系って、仮想的な技術が使えない。1つ1つの積み重ねでしかないので、より無駄なく、効率的に突き詰めていくしかありません。OCPならOCPなりの枠を設け、大きさやコネクタなどがデファクトスタンダードになれば、その枠組みの中で作業しやすくなる気がします。それから、各種インタフェースに対応するケーブルも、時代に応じて変わってきます。たとえば光ケーブルのひとつとっても一昔前まではマルチモード光ファイバかシングルモード光ファイバかの違い位しか無かったかと思いますが、昨今の10Gbps/100Gbpsという高速なインタフェースを利用する場合にはマルチモード光ファイバでも旧来のOM1/OM2といったグレードのファイバでは事実上使えなくなってきています。ケーブル選択という面でも難しいですね。
関谷:スマートなソリューションとしていろいろ出てきましたが、物理層にまだ問題があるということですね。ラックから飛び出る、前向き・後ろ向きが違う、ケーブルを挿せる方向が違う、エアフローの向きが違う、といった点が解決しない限り、その上の管理もスマートにならないというのは1つの真理ですね。そういったところを、ちゃんと解決できる製品なり、ソリューションが出てくればよいと個人的に強く思いました。
伊藤:まあShowNetぐらい一気に多くのモノが出てきて、それを全部一気にマウントしなければならない機会はあまりありませんので(笑)。人に優しい機械、イコール僕に優しい機械。これを目指して開発していただけると私の心も穏やかになるかと(笑)。
関谷:そうですよね。ShowNetで皆さんがストレスなく組める機械が出てきたとき、世の中のすべての人が幸せになれるということで、ファシリティの未来に対する提言は「人に優しい機械」(笑)。それが結論になるかと思います。本日はありがとうございました。
【★脚注1】
OCP:Open Compute Projectの略。OCPは、サーバなどのハードウエアの設計図や仕様のオープンソース化を推進する団体。もともと、Facebookが2011年4月に開始したプロジェクトで、運営団体としてOCPファウンデーションが設立された。当初はFacebookが自社設計したサーバ、ラック、電源装置、冷却設備などの設計図をオープンソースとして公開していたが、現在は、ストレージやネットワークスイッチなどの設計図もオープンソース化。OCPは現在、ラック仕様の第二世代に当たる「Open Rack V2」を策定中だ。
《RBB TODAY》
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