「コントラストの街」レシフェ……W杯で日本が試合 | RBB TODAY

「コントラストの街」レシフェ……W杯で日本が試合

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アレナ・ペルナンブーコ (c) Getty Images
アレナ・ペルナンブーコ (c) Getty Images 全 6 枚
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 日本代表がコートジボワール戦を戦うレシフェ市はブラジル北東部、南米大陸のほぼ最東端に位置する人口約150万人の街である。サッカー選手では2002年のワールドカップ優勝メンバーの一人リバウドや、フランスのリヨンなどで活躍したフリーキックの名手ジュニーニョ・ペルナンブカーノなどがこの街の出身である。

 「ペルナンブカーノ」とは「ペルナンブーコ州の人」という意味であり、ジュニーニョの本名ではない。彼がブラジル代表に選出された際にチーム内にもう一人のジュニーニョがいたため、名前の重複を避けるためにこの呼び名が定着した。もう一人のジュニーニョは「サンパウロ州の人」を意味する「パウリスタ」と呼ばれるようになった。サンパウロFCなどで活躍したミッドフィールダーである。今年のワールドカップに出場中の「セレソン」に、レシフェ出身者はいない。クロアチア戦で途中出場したエルナネスが唯一のペルナンブーコ州出身者である。

 レシフェはいくつもの相反する要素を兼ね備える不思議な街である。「ブラジルでもっとも貧しい地域」の中の「もっとも裕福な都市」であり、「ブラジルでも治安の悪い都市のひとつ」でありながら、「ブラジル最大のハイテクセンター」を持ち、アメリカの大手金融企業からは「世界の65のエマージング・マーケット(金融市場に現れ始めた新興国市場の意)」のひとつに挙げられている。またイギリスの大手経営コンサルタント企業は、2020年までに「世界のもっとも裕福な100都市」の中に入るという調査報告をしており、その規模はミュンヘン、ナポリ、瀋陽、アムステルダムなどの都市をしのぐと見られている。

 街全体がユネスコの世界文化遺産に登録されているオリンダ市に隣接しているほか、白砂の美しいビーチをいくつも持つ人気観光地でもある。街の名称となっている「レシフェ」とは、ポルトガル語で「岩礁」を意味し、干潮時に水面に現れる長く伸びた岩礁と砂浜が織り成すコントラストは絵はがきでもおなじみの風景となっている。しかし、このビーチ近くでは、近年サメの襲撃による死傷者が増えている。ポルトガル語で「シャークアタック」とキーワード検索をかけるとトップページにはレシフェのニュースが目白押しとなっている。訪問者は治安だけでなくサメの動向にも注意が必要だ。

筆者紹介:高木耕(たかぎ・こう)……神田外語大学ブラジル・ポルトガル語専攻教員(准教授)。1994年筑波大学大学院修士課程修了。外務省専門調査員、国連平和維持活動選挙監視員、国際協力機構長期派遣専門家を経て2001年より現職。「ポルトガル語」、「ラテンアメリカ政治論」、「国際開発論」などの科目を担当。ブラジルのリオデジャネイロとレシフェに5年ずつとコロンビアのボゴタに3年間住んだ経験があり、それぞれの国ではスタジアム、対戦カードを問わずサッカー観戦を繰り返す。昨年、テレビ朝日系「世界なるほど!CM学院」に出演している。

《高木耕》

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