川端康成、初恋の「千代」に宛てた恋文発見……『文藝春秋』8月号に掲載
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「僕が十月の二十七日に出した手紙見てくれましたか。君から返事がないので毎日毎日心配で心配で、ぢっとして居られない。手紙が君の手に渡らなかったのか、お寺に知れて叱られてゐるのか、返事するに困ることあるのか、もしかしたら病気ぢゃないか、本当に病気ぢゃないのかと思ふと夜も眠れない」
この書き出しで始まる手紙は、大正10年(1921年)に書かれ、当時22歳だった川端康成が15歳の女性に宛てた、愛の言葉に溢れた内容。相手の女性は「千代」こと伊藤初代(はつよ)、川端の初恋の人だったという。
ふたりが出会ったのは東京だったが、初代の住まいは岐阜。川端は岐阜へ何度も訪れ、東京で彼女と暮らすことを切望し、初代もまた、東京へ行くことを望み、ふたりは婚約写真まで撮影。ところが、事態は急転直下---。この初代との恋愛をモチーフに、川端は『篝火』『非常』『彼女の盛装』といった、いわゆる「ちよ物」と呼ばれる作品群を発表。それほど川端の小説に影響を与えた女性へ送った恋文は、川端文学を研究する第一級の資料といえる。しかも、その手紙は投函されなかったそうだ。
今回の「文藝春秋」では、川端が初代に送った「投函されなかった恋文」を始めとして4通の手紙を掲載。ふたりの純愛の行方と、それが川端にどのような影響を与えたかを論考したものを掲載。あわせて、川端康成の娘婿である公益財団法人川端康成記念会理事長の川端香男里さんからの特別寄稿「川端康成と『永遠の少女』」が掲載される。
《花》
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