クアッドバンドLTEやWi-Fiスポットも強化……夏コミケでドコモが取り組んだこと | RBB TODAY

クアッドバンドLTEやWi-Fiスポットも強化……夏コミケでドコモが取り組んだこと

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ドコモのクアッドバンドLTE対応の移動基地局車(P-BTS)と、Wi-Fiアンテナを背中にしょった「Wi-Fiサポーター」
ドコモのクアッドバンドLTE対応の移動基地局車(P-BTS)と、Wi-Fiアンテナを背中にしょった「Wi-Fiサポーター」 全 8 枚
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 8月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催された国内最大の同人誌即売会イベント「コミックマーケット86」の会場で、NTTドコモはクアッドバンドLTE対応の移動基地局車を配備し、Wi-Fiアクセスポイントの強化も図りながらエリア対策を展開した。

 会場の東京ビッグサイトには3日間に渡って大勢の来場者が訪れた。広大なスペースの会場に集まるユーザーに対して、どうやってエリアづくりを行ったのか。LTEとWi-Fi双方のエリアサービスの具体的な取り組みについて、担当の河村夏樹氏、川地厚史氏に話を聞いた。

■人気アニメ『RAIL WARS!』仕様、クアッドバンド対応の移動基地局を配備

 ドコモがLTE対応の移動基地局車(P-BTS)を“コミケ”会場に配備した機会は今回が3回目。今年のP-BTSは2GHz/800MHz/1.5GGz/1.7GHzの「クアッドバンド対応」に進化した。1.7GHz帯の20MHz幅×2と、UE カテゴリー4対応端末との組み合わせであれば、下り最大150Mbpsの高速通信を利用することもできる。コミケは東京ビッグサイトの全域をまんべんなく使うイベントなので、高品位なエリア網を展開すべく、P-BTSは会場西側・東側ホールの屋外駐車場に1台ずつ配備。今回はドコモのアニメ動画配信サービス「dアニメストア」とのコラボレーションにより、人気アニメ『RAIL WARS!(レールウォーズ)』のスペシャルラッピングに着飾った特別車両がお目見えした。西側ホールの屋外駐車場は、屋内ホールへの入場者が長い行列をつくる待機スペースになっているのだが、スマートフォンやカメラでレールウォーズ仕様になった車のスナップを撮っていく人も後を絶たなかった。

 Wi-Fiのエリアサービスは据え置き型のアクセスポイントの他に、昨年冬開催の“コミケ”でも話題を呼んだWi-Fiアンテナを背中にしょった「Wi-Fiサポーター」と呼ばれる40名前後のスタッフが集結。ビッグサイトのメインエントランスなど、人が多く集まるスポットを中心にスタンバイしながら、来場者に快適なdocomo Wi-Fiの高速ネットワークを提供した。ドコモの河村氏は「前回までの経験をもとに、今年は来場者が多く集まる場所や時間などトラフィックデータを解析しながら、公衆無線LAN/docomo Wi-Fiのアクセスポイントの配置をリファインしました」と語り、既設のクアッドバンド対応基地局、P-BTSと合わせて広い会場内に隈無く高品位な通信エリアをつくることができたと胸を張った。

■各所での実測値もLTE、Wi-Fiともに高い数値を記録

 筆者は実際に、イベント初日に会場の要所で速度調査を実施した。端末にはGALAXY S5とiPhone 5sを用意し、「RBB TODAY SPEED TEST」アプリで測定を行った。西側ホールの屋外駐車場に配備されているP-BTS周辺では、LTEの下り通信速度がコンスタントに40Mbpsを超える数値を記録。同じ場所でWi-Fiの通信を計測してみたところ、3回の計測値平均は下りで70Mbps前後、上りは102Mbpsにも上った。このように非常に高速な通信速度が記録された理由について、ドコモの河村氏は「トラフィックの状況など利用環境にもよりますが、複数の通信チャンネルを束ねて高速化するチャンネルボンディングやMIMOのマルチアンテナ技術をサポートしている端末なら、より高速なネットワークを利用することができます。また超高速規格の11acに対応した端末であれば、理論値で最大433Mbpsもカバーできます」と説明する。

 大勢の来場者が集まる東京ビッグサイトのメインエントランス周辺ではLTEの下り速度が32Mbps前後、Wi-Fiでは35Mbps前後を記録した。また屋内は人気の“企業ブース”入口付近で計測を実施。LTEの結果は下りが29Mbps前後、上りも12Mbps前後となった。Wi-Fiの方も好調で、下りは20Mbps前後、上りは42Mbps前後とハイレベルな平均値が出た。

 河村氏によればWi-Fi周りの使用機材については特別に大きな変更を行うことなく、細かなチューニングで感度アップを図ったのだという。トラフィックデータや来場者の導線を丁寧に解析しながら、適切なスポット対策を行ったことが奏功したようだ。ドコモが昨年の秋冬から展開する端末にはdocomo Wi-FiがSIM認証に対応する機種もあり、SIM認証対応エリアではWi-Fi設定をオンにした状態であれば、自動でWi-Fiネットワークを切り替えながら手軽に高速通信が利用できるようになっている。

■今後も大規模イベントでのエリア強化に力を入れる

 今回取材した“コミケ”の他にも、ドコモでは今年も様々な夏祭りや音楽フェスなど大規模イベントでのエリア対策強化に力を入れている。蓄積されたノウハウはユーザーの利便性向上という体感できるかたちで着実な成果につながっている。そのことは今回の取材を通じて明らかになったと思う。LTE/Wi-Fiともにネットワーク通信の品質は日々進化を続けているのだ。ドコモの川地氏は「イベント会場での待ち時間を楽しく過ごすためであったり、あるいは緊急時の連絡用など多くのユーザーの皆様が安心して通信を使っていただければ私たちは本望です」とコメント。さらなるエリア品質のクオリティアップに意欲をみせる。

 なお、“コミケ”の開催にあわせてdアニメストアでは期間限定で人気作品『うたのプリンスさまっ』全13話のほか、『マンガ家さんとアシスタントさんと』『神々の悪戯』『悪魔のリドル』『ぷちます!!』各全話、『RAIL WARS!』第1話の無料配信が行われた。会場の最寄り駅となるりんかい線・国際展示場駅前ではドコモのスタッフが『うたのプリンスさまっ』のオリジナルうちわを毎日配布。当日午前7時半から配布がスタートし、無くなり次第終了ということもあって、駅前にはうちわをもらうために来場者が列を作る場面も見られ、こちらも大変好評を博していた。

《山本 敦》

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