【快適ペットライフ Vol.6】「愛犬の名前を呼ぶと喜びますか？」

　愛犬の名前を一生懸命呼ぶのに、なぜか無視される……なんて経験ありませんか？
「家の子、名前を覚えていなのかしら……？」と質問されることもあります。

　もちろん、お迎えして間もない子はまだ名前を理解していないと思いますが、1ヵ月も一緒にいれば自分の名前を完全に理解しています。ただ、人がイメージする「名前」という感覚とは少し違いますけどね！

【初めてのしつけ】
　お家に迎えて初めて行うしつけは、実は「名前を覚える事」です。教えている感覚が無いかもしれませんが、今後の愛犬との暮らしに関わるとても重要なトレーニングです！
犬に「名前」という感覚はありません。人のように自分の名前は○○です。と覚えるのではなく、○○と聞こえた時、飼い主は自分に関わってくるという学習を繰り返す為、名前を呼ばれた後に何が起きるのかがとても重要になってきます。

【褒められるの？叱られるの？】
　愛犬を叱る時に、あなたの事なのよ。という意味を込めて名前を呼んでから叱る方がいらっしゃいますが、呼んだ時に無視される原因はここにあります。多頭飼いの場合は違ってくる場合がありますが、叱る上で名前を呼ぶ必要はありません。○○と聞こえたら飼い主が怖かったという経験を重ねると、名前が聞こえた時に叱られるのか？と戸惑い聞こえないふりをするようになります。そもそも、叱られた理由が分からず、突然飼い主は怖い態度を取ると思っている子がほとんどです。
名前で大切なのは、○○と聞こえたら、「良いことが起こる」と学習をさせることです。
名前の後にいつも良いことが起これば、無視されるどころか、喜んで近づいてきてくれます！！

【名前＝良いこと】
　では、どうしたら名前に対しての反応が良くなるのか？叱る前に名前を呼ばないようにするだけで半分トレーニングは完了です。あとは、愛犬の名前を呼び、少しでも名前に対して反応をしたらすかさず「いいこね」と声をかけてあげましょう。もし、すでに名前に対してのイメージが悪くなっている場合は、更に愛犬の好きな事を追加します（ゴハン、おやつ、おもちゃ、散歩、抱っこ…など）名前を呼んだ時に目をキラキラしながら振り向いてくれればOKです。それでも反応が悪い場合は、振り向かない原因が他にある可能性があるので、プロによるカウンセリングをお勧めします！！
ちなみに、私の愛犬ハリーは、もう一頭の愛犬の名前を呼んでも近づいてきます(笑)

【健康のバロメーター】
名前のもう一つの重要ポイントは、「健康管理」です。
私の愛犬トロンは、名前を呼ぶと顔を見上げます。もちろん、寝起きや何かをしている時などは反応が遅い時もあります。でも、最近名前に対しての反応がとても悪くなりました。普段と違う変化です。わざとというより顔を上げるのが辛そうでした。様子が変だなと気を付けて様子を見ていたら、やはり体調を崩しており病院で治療を行いました。名前に反応しない……小さな変化かもしれませんが言葉が話せない犬たちにしたら、とても大きな変化です。
普段からのコミュニケーションとしても名前はとても大切な意味を持っています。

　愛犬の名前を呼んで、愛犬が振り向いてくれた時の嬉しさはひとしおですよね！愛犬も、自分の名前が聞こえると、大好きな家族がかまってくれる！と、待ってましたとばかりに喜びます。大好きな家族と出会って付けてもらった大切な名前。愛犬にとって大好きな言葉になっていたら嬉しいですね。

●筆者プロフィール
稲垣亜衣

■1999年、犬のテーマパーク「わんわん動物園」に入社しステージチームとして、「ドッグレース」、「アジリティドッグ」、「ディスクドッグ」などのパフォーマンス犬の育成やステージパフォーマンスを担当。2001年オープンの「わんにゃんワールド多摩」では、ステージチーム長、園長を務める。2004年には、テレビチャンピオン「第２回ダメ犬しつけ王選手権」に出場し優勝！！2009年からはペット業界大手「ペットプラス」「イオンペット」にて、飼い主様向けのしつけ教室を担当。しつけ部門のマネジャーを兼任しながら、4年間に渡り、1000件以上のトレーニングを行う。2013年独立、「HAPPINESSDOG」を立ち上げる。愛玩動物飼養管理士１級、ペット栄養管理士。