企業内でイノベーションを起こすには?Structural fold型組織の重要性 | RBB TODAY

企業内でイノベーションを起こすには?Structural fold型組織の重要性

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企業内変革、部署を超えて影響を与えていく“Structural fold”型組織の重要性
企業内変革、部署を超えて影響を与えていく“Structural fold”型組織の重要性 全 16 枚
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企業の中でイノベーションを、意図的におこすにはどうすればよいか。また、イノベーションをおこすにはどういった組織設計をし、いかにワークスタイルを変えていくべきか。

12月に開催されたクラウドコンピューティングイベント「Salesforce World Tour Tokyo」において、この問いを中心においた「ソーシャルデータと内部データの活用によるワークスタイル変革―INOVATION by DESIGN」と題したセミナーがおこなわれたのでレポートしたい。登壇者は日本電気システムソフトウェア事業部部長、島野繁弘氏。


◆従業員にもone to one マーケティングを

冒頭で島野氏は、現代人を取り巻く情報環境を概説。オンライン人口の激増は、企業と消費者における情報格差を解消した。さらにSNS等を通じて、普段の会話では知ることができない関心事項や趣味に関する情報などが、自分の興味の有無にかかわらずプッシュ型で拡散される時代となっており、情報の特性精度、信頼が増していることなどを指摘。

この上で、企業がイノベーションをおこす上での重要な課題として、最終的な価値創造者である“人”に対して理念をいかに浸透させるか、を挙げる。この点島野氏は「会社によっては理念を組織的な取り組みによって実現しようとしているところもあるものの、そうではなく今後は“ソーシャルのものを背骨として浸透させる”新しい手法にも目を向けては」と提案する。

“ソーシャルのものを背骨とする”とは、一企業内で企業トップが提案する理念を全社的に浸透させ、またそれに一貫する行動をとってもらうように取り組む際、社内で行われる面談などの場で従業員が自己申告する情報だけではなく、従業員が利用するSNS上の情報も含めて従業員の特性やスキルセットを理解するということだ。

「全従業員が同じような特性を持っているわけではないので、従業員に対してメッセージを出していく際、個々人に合った形で発信する必要があり、そのためにはまず個々の従業員がどのような人間なのかを見極めていく必要がある。社員との個別面談などによりFace to Faceで特性やスキルセットを把握しようとする試みも一つ重要なものといえるが、それだけでは不十分だ」という。

Face to Faceとは異なる他の側面で従業員を定量的に判断、分類し、その上で適切な指示をすることも会社の中では重要となっていく。さらに、ここでより精緻な分析をするために重要となるのがSNSなどを通じて得られるソーシャルデータだ、と島野氏は述べる。「SNSでのやり取りから、“発信的に、能動的に動いているのは誰なのか”を見抜くこと。そうして従業員同士の関係性に適した指示を下していくことができる。」と指摘する。ソーシャルデータからネットワーク図を描き、影響力の源をみつけることにより多角的な構造把握が実現するという。


◆イノベーションを意図的におこすには

理念の浸透に加えて、続けて意図的なイノベーション創造が可能な仕掛けを企業内に取り入れることについて説明。“イノベーションがおきやすい組織型”についても、従来はStructural holeと呼ばれる構造がよしとされてきたことに対して、島野氏は異議を唱える。

従来、イノベーションがおこる組織は、一方の組織でうまくいったノウハウ、ナレッジがの組織に伝えられるようなハブ型の組織(Structural hole)をつくることによって効率的に働く、と思われてきたが、今後は組織をまたがって仕事を主導する人やチームを創ること(Structural fold)がイノベーティブな組織となるために重要となるという。

「Structural fold型は両方の組織に(従来の兼務とは異なり)実際に所属し、両方の中で影響を与えていくような関係性が保たれている状態を指す。この時最もイノベーションが起こると思われる。イノベーションを意図的におこすとき、人と人の循環、つながりをもたせながら市場の声やビッグデータを組み入れていくところがポイント」(島野氏)。

日本電気では今年6月にセールスフォースによる発表されたマーケティングツールを使った、モニタリングやキャンペーン効果測定などの機能ツールをリリースしていく予定だという。現在電機メーカーを中心に、BtoE課題へのアプローチを提案。同社の営業とSEが連携する形でサービスの改善を進めているという。

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《北原 梨津子@レスポンス》

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