通信事業者「IIJ」の参入で活性化する新電力市場
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
IIJが発表したのは「PMSサービスプラットフォーム」と呼ばれるもので、2016年に完全自由化がされる電力事業を見据えた、スマートメーターを活用したサービス基盤だ。このサービス基盤は、スマートメーターとWi-SUN規格で通信するUSBドングルを接続したWi-Fiルーター(SA-W1)と、そのルーターをリモートで集中管理するシステム(SACM:Service Adaptor Control Manager)、そしてスマートメーターからルーターを経由して送られてくるデータを蓄積・管理するクラウドシステム(PMS)の3つのコンポーネントから構成される。
需要家ごとのスマートメーターをネットワーク化し、収集したデータでデマンドコントロールや各種サービスを実現するというモデルは、これまでのスマートグリッドやスマートシティの各種実証実験で提案、検証されてきたシステムだ。その意味でPMSサービスプラットフォームに特別斬新なテクノロジーが投入されたわけではない。しかし、このシステムが業界において新しい意味を持つのは、主に次の2つの点があるからといえる。
■需要家と供給側向けのオープンなクラウドサービスプラットフォーム
ひとつは、このサービス基盤をIIJというISP(インターネットサービスプロバイダ)が構築、提供するという点だ。もうひとつは「Bルート」と呼ばれる、需要家と電力小売り事業者(または各種サービスプロバイダ、アプリケーションプロバイダ)向けのオープンなクラウドサービスプラットフォームであることだろう。
これまでの実証実験などは、実験向けの閉じた世界でのスマートグリッドの実装がほとんどだった。これは、実験であることと電力事業が完全にオープンになっておらず、発電・送配電・小売りまでいわゆる電力会社1社がカバーしていたためだが、IIJのサービスは電力事業の自由化により、小売りや送配電も分離され、複数の事業者が競争ビジネスを展開する前提で設計されたサービスだ。
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