【MWC 2015 Vol.74】ネットワークを活用する産業、エリクソンが注力する3分野
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■エリクソンが注力する3分野「UTILITY」「TRANSPORT」「PUBLIC SAFETY」
テレコム業界において、最初の100年間は家と家、家とオフィスなど場所をつなげるということが行われてきた。それからこの25年間ほどで移動体通信が出現し、人と人が直接つながるようになり、2000年には50億の人々がつながった。そして、直近の15年間の動きをみると、IoT/IoEと呼ばれるように様々なものがネットワークに入ってくるようになり、今後は車や電球、産業そのものなど、すべてがつながる時代がやってくるとされている。
すべてのモノ・サービスがネットワークにつながれた時、どんなメリットが発生するのか。通信業界以外でも、ネットワークの活用が見込めるとして、エリクソンが特に力を入れて取り組んでいくとしたのが、「UTILITY」「TRANSPORT」「PUBLIC SAFETY」の3分野。これらの分野はいずれも、道路や鉄道などのインフラに依存するものであり、モビリティによって劇的な変化が起こせるもの。さらに、エリクソンが各国の大手企業と協業し、集中して取り組んでいる市場でもあり、グローバルな横展開が可能であることなどから、今後焦点を絞ってICT活用のソリューションを広げていくことに決めたとのこと。
各分野を具体的に見ていくと、「UTILITY」では、物流、輸送のシステムオペレータや小売り業者などを対象として、スマートメーターやスマートグリッドなどのサービスを支援していく。「TRANSPORT」では、自動車メーカーや交通関連の省庁、船舶・海運業などを対象にし、道路や鉄道向けのICTインフラ、交通処理関連サービスを提供する。「PUBLIC SAFETY」では、内務省やインフラ関連の省庁を対象に災害時のマネジメントサービスや境界上や地域のセキュリティサービスなどを提供していく。
エリクソンはこれらに様々なビジネスチャンスがあるとみており、これらの分野に付加価値を加えていくことが必要であるとした。たとえば、車同士のコミュにケーションの次には、車と道路とのコミュニケーション、さらには道路を管理している当局とのコミュニケーションへと発展する。そこに、エリクソンの顧客がソリューションを構築でき、産業をまたいでの活用ができるまで長期的な目線で支援していく。
■独立したネットワークをクラウドでつなぐ
MWCのブリーフィングおよびエリクソンブースでは、上記のような取組みの中でいくつかより具体的なクラうどのサービスについての説明があった。そのひとつが「CONNECTED VEHICLE CLOUD」。現在、ディーラーのネットワーク、製造業者のネットワークなど、車に関するネットワークのほとんどはそれぞれが独立している。ここにクラウドを介したコネクティビティを提供することで、ドライバーが車とつながるだけではなく、ディーラーや修理のお店、さらには保険会社のシステムともつながることができる。そうなると、仮に事故が起きたとして、ドライバーが手書きの書類を提出するまでもなく、バックグラウンドのシステムで保険適用まで処理することもできる。また事故の大小を車自体が判断し、今日はこのまま運転可能だが、何日にこの店でここを修理しませんか?といった提案が車から行われるようなことも可能になるという。
もうひとつが「CONNECTED TRAFFIC CLOUD」。毎年、百万人を超える人が交通事故で命を落としていたり、交通渋滞による経済損失が欧州で1000億ユーロを超えるといった試算がある中、「CONNECTED TRAFFIC CLOUD」はそれらを改善する可能性があるソリューション。同ソリューションでは、自家用車やトラック、バスや道路に埋め込まれたセンサーから情報を収集し、それを国土交通省のような当局機関に集約した上で、重要な情報をエンドユーザーに即座に返していく。渋滞が起こっている場所はどこか、路面状態の良いところ悪いところなど、ユーザーの選択を助けるための情報を、様々なところから得たデータを元に届ける。100km先の関係のない事故情報などは流さず、もっと細分化された情報を届けていきたいとのこと。
エリクソンではこうした取組みをすでに数年来行ってきており、ボルボとのCONNECTED VEHICLEの取組みをはじめとして2013年には30の重要な契約を結んでいる。
《白石 雄太》
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