【MWC 2015 Vol.75】5GHz帯を使い込む!今年のネットワーク系技術の目玉「LTE-U」
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
アンライセンスドバンド活用のもうひとつの取組みが、LTE-UやLAA(License Assisted Access)と呼ばれるもの。アンライセンスドバンドである5GHz帯をLTEに使い、既存のライセンスドバンドとアグリゲートして使う。ブースでは、7台の端末を用いたデモの様子が紹介されていた。7台のうち1台はWi-Fiの5GHz帯のみを掴んでいる端末で、残りの6台はLTE+Wi-Fiのピコセルにつながってアグリゲーションしている状態。その状態から、LTE+Wi-Fiの6台について、1台ずつLTE+LTE-Uに切り替えていく。つまり、あるエリア内で5GHz帯におけるLTEの利用比率を上げていくと、それぞれのスループットはどうなるのかという実験だ。
結果から言えば、LTE+LTE-Uに切り替わった端末が増えるごとにそれぞれの端末のスループットは向上した。さらには、Wi-Fiのみにつながった端末のスループットも、5GHz帯にLTEが入ってくることで悪影響を受けるどころか向上している様子がみてとれた。当初の状態ではそれぞれの端末は10Mbps~15Mbpsのスループットを出しており、エリア内の合計値は80Mbps程度。そこから、Wi-Fiのみにつながった1台を除き6台すべてをLTE+LTE-Uに切り替えた状態では、それぞれのスループットは2倍程度上昇し、エリア内の合計値も200Mbps近くになった。
クアルコムの担当者によれば、Wi-Fiのプロトコルはそもそも屋内などの狭いエリアで1対1の関係を想定して設計されているため、屋外で対マルチユーザーと接続するには向いていない。LTEははじめからマルチユーザーを想定した設計なので、周波数の利用効率が高く、そのため5GHz帯のLTE比率が高まることで結果的にWi-Fiで使えるリソースも増加するのだという。クアルコムが1年半ほど前にLTE-Uを提唱した時、すでに5GHz帯をWi-Fiで利用している事業者からはWi-Fi側のパフォーマンスに悪影響があるのではないか、という懸念の声が多くあがった。クアルコムとしては今回のデモ展示で、そういった懸念の声に「問題がないと回答できたはず」とする。
LTE-U/LAAは、来年には3GPPのリリース13で標準化される見込み。米国については、法令の関係で標準化を待たずして導入が可能とのことで、ベライゾンを中心に来年の商用化に向けた動きが活発化しているそうだ。日本はリリース13の標準化待ちということになるが、ドコモとファーウェイが同技術の効果を確認したという旨のプレスリリースを既に発表するなど、導入の角度は高いように感じる。クアルコムは、上述したLTEとWi-Fiのアグリゲーション、そしてこのLTE-U/LAAについて、どういった形でネットワークが作られているかによって、ケースバイケースで適用され、共存していく技術との認識を持っている。すでにWi-FiのAPが豊富に設置されている場所であれば、LTEとのアグリゲーションで単純にスループットを上げられるし、スモールセルが多数展開している場所にはLTE-U/LAAが効果的だ。
日本では、2020年のオリンピックに向けたフリーWi-Fiの整備なども進んでいるが、ただいたずらにAPを設置していくだけでは干渉も起きるし、満足に使えるネットワークを形成することが難しい。アンライセンスドバンドの活用も含め、限られたリソースをいかにコントロールし、効果を最大化していくのかという技術に今後はかなりの注目が集まるだろう。
《白石 雄太》
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