【MWC 2015 Vol.76】クアルコム、次世代無線LAN“11ad”や“LTE-D”など最新技術のユースケースを展示
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■災害時の活用も想定される「LTE-Direct」
LTE-Directは、昨年のMWCでもクアルコムが展示していたLTEを用いた近接通信技術。最近では、iBeaconなどが注目を集めているが、BLEを用いるiBeaconの適用距離が数メートル単位なのに対して、LTE-Dではおよそ5、600メートルほどの範囲で端末を発見し、アクションを起こすことができる。広告やO2O目的の利用としては以前から事例が紹介されており、ドイツテレコムやKT、さらにはNTTドコモなどもLTE-Dを利用したアプリのトライアルを実施中とのこと。広域ではLTE-D、より近距離ではiBeaconと言った使い分けも想定されている。さらに今回は、パブリックセーフテイーの領域でも活用可能としてコンセプトアプリのデモもおこなわれていた。具体的にはある災害が起きた際に、消防士などがその周囲5、600メートルの人たちに対してプッシュトゥトークでトランシーバーのように音声を届けたりアラートを出すような使い方だ。LTE-DはPeer to Peerの端末間通信であるため、こうした使い方が可能になる。
■次世代無線LAN「802.11ad」のユースケース
無線LAN規格802.11adは、60GHz帯という非常に高帯域の周波数を使う通信規格で、理論上のピーク速度は下り7Gbpsまで想定されている。これまでのWi-Fiと同様に、通常のAPとしてPCやスマホをつないで利用することももちろん可能。さらにレイテンシ(遅延)がほとんど無いことも特徴のため、キーボードとディスプレイをワイヤレスでつないでも、ケーブル接続と同等のレスポンスが得られるほか、複数のゲーム端末での同時プレイにも適しているという。また、フランスのORANGEは、1Gbpsを超える速度が出るという利点をいかし、飛行機の搭乗前に高画質の映画コンテンツなどを手持ちのタブレットやスマホにダウンロードするサービスのトライアルを実施している。ブースでも実際にデモを見せてもらったが、584MBの映画データが、数秒でダウンロードできていた。これまで中々ワイヤレスでダウンロードすることが現実的でなかったコンテンツが短い時間でローカルに落とせるので、旅行業者やコンテンツ販売事業者にとって新たな販売チャネルを築くきっかけにもなり得る。携帯キャリアにとってみても、たとえばドコモショップに訪れて契約してくれたユーザーに、その場で映画一本プレゼント、といったサービスを提供することも可能だ。
11adに対応した製品は、半年から1年後には市場に出てくるとみられている。
《白石 雄太》
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