悲しい不幸があったときの“コスト”なんて、あまり考えたくないもの。狙っているクルマの価格や物件の相場は、無意味なほどに覚えているものだけど、葬儀や葬式にかかる料金なんて、すぐにパッと浮かんでこない。
carrierという言葉には運送会社のほかに、メッセンジャーや使者という意味もあるらしい。強引だが、流行りのLCC(Low Cost Carrier)という言葉を借りれば、葬儀・葬式の世界にも“あの世へと送るLCC”がある。ユニクエスト・オンライン(大阪市北区)が運営する「小さなお葬式」というサービスも、そのひとつだ。ただし「ローコスト」と言っても従来と比較してであって、どこかを切り詰めて低価格を実現したわけではない。
「たとえばクルマでたとえると、故人がよろこぶようにお葬式をしてあげたいけど、あまり予算がないという人たちに向けても、これまでの葬儀業者は、『レクサス』や『メルセデス』のようなプランを提供していた。われわれは葬儀の世界で、いいものを手ごろな価格で提供するようにした」と話すのは、ユニクエスト・オンライン取締役営業部長の八田知巳さん。
同社のホームページには、「事業内容 インターネットによる葬儀ビジネスの運営」、「企業理念 不透明なサービスをインターネットを使い透明化することで社会に貢献し続ける」と記されている。そう、これまでの葬式や葬儀は、コストの中身が見えず、だいたいが業者の“言い値”だった。一連の儀式が終わったあとに「全部で200万円です」と言われたら、「はい、わかりました」と、なんとなくお金を払っていた。
「こうした“言い値”で提供していた葬儀の世界を、インターネットを使って透明化しようと。まず、火葬のみの『小さな火葬式』、通夜を行なわない『小さな一日葬』、通夜・告別式を含めた『小さな家族葬』と、シンプルな3つのプランをラインナップ。平均単価が35万~45万円で、利用者の半分が総額18万8000円の『小さな火葬式』を選ぶ」(八田さん)。
この低価格は、既存の葬儀業者・式場・ホールなどと提携し、“空席稼動”というLCCや高速バスなどでも活用されているノウハウを用いて実現したものだ。