【木暮祐一のモバイルウォッチ】第75回 キーワードは「地方」!? ドコモとauが新発表した“ガラホ”の行方
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“ガラケーへの回帰”とまでは言えないものの、スマホではなく従来型のフィーチャーフォンを要望する声は少なくない。こうしたニーズに対応すべく、両社とも新型フィーチャーフォンの新製品を投入してきた。
■Android OS搭載は、もはや当然の流れ
KDDIはシャープ製の「AQUOS K SHF32」、NTTドコモは同じくシャープ製の「AQUOSケータイ SH-06G」と富士通製「ARROWSケータイ F-05G」という、Android OSを備えながらも、形状は従来のガラケータイプの端末をそれぞれ発表した。
KDDIが2015年春モデルとして、Android OSを備えながらも形状やインターフェイス(画面上の操作性)はガラケーと変わらない端末として、シャープ製「AQUOS K SHF31」を発表した際に、大きな話題となったことは記憶に新しい。スマホ用のOS(基本ソフト)を備えながら、形状も操作性も従来のガラケーを踏襲しているというのが目新しく、賛否いろいろな声が挙がっていた。
実際のところ、従来のガラケーに比べ、スマホのほうがより多くの情報に触れることができ、またコンテンツ(アプリやWebサービスなど)もその多くはスマホ向けに移行しつつある。手のひらでインターネットを有効に活用しようとするならば、スマートフォンを利用したほうが断然便利に違いない。通信キャリアにとっても、より多くのユーザーにスマホへシフトしてもらいたいというのが本音のはずだ。
とはいえ、ガラケーにこだわるユーザーも決して少なくない。大都市圏では大半のユーザーがスマホにシフトしているが、都心部から離れ、地方に行くほどスマホ普及率は低くなる。さまざまな理由が考えられるが、やはり日常の交通手段に自家用車を利用している地域ほど、スマホ普及率は低下。自宅や勤務先にはブロードバンドが整っている現在、移動中にインターネットを利用するシチュエーションが少ないためだ。
しかしながら、音声通話は利用する。スマホユーザーの多くの方は気が付いていると思うが、スマホを通話に利用しようとすると、ガラケーに比べれば操作性が良いとはいえない。タッチスクリーンのロックを解除し、通話アプリを起動させ、アドレス帳から通話先を呼び出すなり、電話番号入力するなりして通話発信するわけだが、やはりここは数字キーやアドレス帳ボタン、履歴ボタンが備えられたガラケーのほうがはるかに使いやすい。バッテリーの持ちを考えても、使い方が「通話」主体であるなら、バッテリーが長時間持つガラケーのほうが断然有利だ。
こうした事情もあって、地方ではガラケーニーズは依然として高い。
一方で、モバイルネットワークは常に進化を続けている。インフラは3GからLTE(4G)が主流となっているが、そうなればLTEネットワークでも利用可能なガラケーをラインアップさせる必要がある。当然、端末を製造するメーカーとしては、従来のガラケーをLTE対応させるためのハードウェアやOSを新たに設計、量産することは大きな負担になる。
その解決策として、オープンソースの基本ソフトであるAndroid OSを用い、ハードウェア内部のチップ等もスマートフォンと共用できれば、製造コストは抑えられるはずだ。こうして、Android OSを備えたガラケーがラインアップされることになるのである。
KDDIによれば、春モデルとしてラインアップした「AQUOS K SHF31」は、40~50代の男性・女性が多く購入しているということだったが、スマホへ移行できない、あるいは移行する必要がないというユーザー層にそれなりに受け入れられているのであろう。
あるいはスマホを使いこなしてきたユーザー層においても、より大画面のディスプレイでコンテンツやサービスを利用したいとなれば、通信利用はタブレットを主体にし、それと組み合わせて音声通話用のガラケーを持つというニーズも出てくるはずだ。タブレットの電池が切れてしまっても、電池の持ちが良いガラケーで連絡はできる。
《木暮祐一》
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