【NHK技研公開 2015】8K映像の記録・保存に最適な高密度ホログラムメモリーを展示
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特にユニークで目をひいたのが高密度ホログラムメモリー装置だ。このメモリー装置は、文字どおりホログラムの原理を応用し、映像データの記録と再生が行えるもの。ホログラム媒体への多重記録方法を工夫し、記録密度を高めたり、逆に媒体に記録した8K圧縮信号データを読み出し、映像を再生するまでの動作も実演していた。
もともとホログラムは立体データを記録するものだが、このホログラムメモリーは8K映像のデータをQRコードのような2次元データにして、媒体に記録する方式を採用している。特徴は、光の入射角を変えながら、異なるデータを重ね書きすることで、1ヵ所に600枚もの2次元データを多重化できること。そのため非常に大容量なメモリーとして機能する。容量的には1つの記録媒体で数TBまでは対応できるそうだ。
今回の研究では、データ多重化の際に光の入射角を変えながえら記録する方式のみならず、記録媒体自体も動かしていく方式を加えることで、従来より4倍以上の多重化を実現したそうだ。ただし、ホログラムメモリーは現在のところデータの書き換えができないライトワンスだ。データ保存のみの用途になる。
データの多重化については、一万円札にプリントされたホログラムを想像するとイメージがわきやすいだろう。見る角度を変えると、異なる絵が現れる。これも多重化された情報が入っているからだ。同様に多重に書き込まれたホログラムメモリーも、ある角度にすると書き込まれた情報が取り出せる。このデータを並列処理して8K映像として再生する。
一方の8K-120Hz圧縮記録装置は、1本の光ケーブルで8K信号を入出力し、着脱式メモリーパックに圧縮して記録できる。メモリーパックには、NAND型フラッシュメモリーを採用し、最大容量は8TBだ。劣化の少ない約6分の1程度の圧縮率でフレームごとに圧縮をかけ、さらに偶数と奇数のフレームごとに並列に処理を施していくため、高速化も併せて実現し、120fpsでリアルタイムに圧縮できる。
圧縮記録装置の入出力インターフェースはNHK独自のものだが、メモリーパックのインターフェースは一般的なPCI Expressなので、PCへのデータ転送が容易に行えるという。今後、8K映像の普及に伴って、このような新しい記録媒体もどんどん登場してくるだろう。
《井上猛雄》
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