【インタビュー】『トゥモローランド』バード監督……明日はどっちだ
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
不思議なピンバッジを入手したケイシーは、“すべてのアイデアが可能になる”理想の世界『トゥモローランド』の存在を知った。同じく『トゥモローランド』を知るフランク、謎の美少女アテナともに『トゥモローランド』に向かうが、それは希望を失った人類の未来が懸かった冒険だった……。
--- 映画『トゥモローランド』の発端ですが、「The 1952 BOX」はどうやって見つけたのですか? 中には映画のプロット、20年代の雑誌の切り抜き、地図、パズルなどが入っていたといいます。それを見て映画化しようと思ったいきさつを教えて下さい。
ブラッド・バード監督(BB) --- 見つけたのは私ではなくて、私はデイモン・リンデロフ(製作・脚本)に見せられたんだ。アメリア・イアハートとウォルト・ディズニーが肩を組んでいる写真があったりしてね、とても信じられなかった! 誰かのジョークかも知れない。でもそんな“別の世界”が本当にあったらいいな、と思って映画にしたんだ。
--- 『トゥモローランド』にエレクトロラックス製の掃除機が登場します。ミッドセンチュリーのデザインがお好きなのですか?
BB --- あれは物語上の選択だった。田舎の子どものフランクが発明するのに入手可能な機材だ。フランクは車のシボレーの部品なんかも使ってモダンなジェットパックを作ったんだよ。でも、個人的にもミッド・センチュリーのデザインは好きだ。いいデザインは何でも好きだよ。
--- 『Mr.インクレディブル』のビジュアルデザインで監督は、60年代の人々が考えた明るい未来を描こうとしました。『トゥモローランド』で実現しましたか?
BB --- あるていどはね。それほど都市の製作の時間はなかったけど、アイデアはもっと複雑なんだ。『トゥモローランド』は世界中の優れた頭脳が、およそ100年かけて考え、徐々に作り上げた都市だ。だから街のスカイライン、輪郭にはいろいろなスタイルが混ざっているはず。現実の世界でも、歴史のある大都市なら、異なる時代のいろいろな様式の建築が見られるでしょう。
--- 『トゥモローランド』という作品は基本的に、未来に対して楽観的な作品ですね。いっぽう暗い未来を描いたサイエンス・フィクションもあります。監督はどちらの未来を予想しますか? サイエンス・フィクションの役割は人々に警告を与えることですか、それともインスピレーションを与えることでしょうか?
BB --- その両方だととらえていい。サイエンス・フィクションは「ジャンル」であり、それは未来への警鐘と希望とを組み合わせたものなんだ。たとえば『2001年宇宙の旅』は、コンピューターが人格を持ち人間を支配してしまう、怖い未来を描いたと誤解されたけど、最終的には人間が技術を超越する前向きな終わり方をする。ディズニー映画でいえば『海底2万マイル』も悲しいエンディングだけど、希望がある。
--- 『Mr.インクレディブル』などアニメ映画の現場で、監督はいつも大声で話して、エキサイティングな雰囲気を作ると聞きました。今回もそうでしたか?
BB --- ときどきだよ(笑)。現場のエネルギーが小さいときには士気を高めなければならない。『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』では、暑い場面を撮らなければならないのに、実際の気温は寒いなんて時もあった。スタッフの反応を引き出すのも監督の仕事だよ。
--- 私は『トゥモローランド』を見ているうちに、あのピン・バッジがほしくてたまらなくなりました。楽しい話をありがとうございました。
《高木啓》
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