進化し続ける東京・大田区のモノづくり企業…加工技術展示商談会
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かつて約1万社あったモノづくり企業は約3900社に減ったが、生き残った区内企業の加工技術は進化し続けている。国内外で技術的評価の高い区内中小製造業が参加する「第8回大田区加工技術展示商談会」が7月3日に南蒲田の大田区産業プラザで開かれる。
来場見込み者数は約2000人。出展企業は多くの商談成立を目指し、意気込んでいる。
「当社の加工はチーズフォンデュのイメージ」と笑うのは、エポゾールの吉田利樹社長。溶かした塩化ビニールに型となる物体を漬け、中身を抜き取ることで塩ビ製品ができる「ディップ加工」を手がける。主に橋のボルトカバーなど、金属製品のカバーを製造している。
ディップ加工には金型が不要。塩ビに漬ける物体そのものが型となる。金型が作れないような複雑な形状の製品も作れる。吉田社長は「固まるタイミングを見計らって抜くところにノウハウがある」と明かす。余った塩ビでペン立てといったノベルティーを製作。環境面にも気を配る。
太陽イービーテックは電子ビーム溶接や真空ロウ付け加工など次世代の溶接技術と昔ながらの溶接技術、双方のよさを利用する。電子ビームは物体の奥まで熱を通し、厚い金属でも奥まで溶かして溶接できる。高温のため通常では溶かせない銅の溶接も可能だ。また、真空ロウ付け加工は酸素に触れないため金属が酸化しない。黒ずむことなく、きれいな仕上がりとなる。
衛藤稔社長は「真空状態を作れるのが当社の強みだ」と胸を張り、真空機器の設計や製作も行う。最大で長さ約40メートルのワークを真空下でロウ付けできる装置を製作。自社で使用している。
今岡モールディングは樹脂の中に金属の微粉末を混合して作る金属粉末射出成形(MIM)や専用の金型を製造している。MIMにより作られた部品は樹脂より耐久性があり、金属の切削では難しい複雑な形状にできる。光通信関係のコネクターなどに使われる。
今岡恵一社長は「MIMに使う金型は、樹脂より硬いものを流すため減りやすく、量産用金型を作る際は熱処理が必要。精度が変わるため、いかに精度を出すかが腕の見せどころだ」という。MIM以外にもプラスチックの射出成形や金型製作を行う。設計から仕上げまで一貫体制で短納期にも対応できる。
今回の大田区加工技術展示商談会には、これら3社を含む100社が出展する予定。開催日は次代を担う優秀技術者の表彰式なども行われる。大田区のモノづくり力に注目が集まる日となりそうだ。
東京・大田の進化、見どころ-3日から加工技術展示商談会
《日刊工業新聞》
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