キャンパスノート、年間販売1億冊超……工場取材 | RBB TODAY

キャンパスノート、年間販売1億冊超……工場取材

エンタープライズ フォトレポート
キャンパスノートのマザー工場に潜入!
キャンパスノートのマザー工場に潜入! 全 23 枚
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 2015年で誕生40周年を迎えた「Campus(キャンパス)」ノート。紙質はもちろんのこと、糸や金具を利用しない「無線綴じ」で書きやすさと使いやすさを追求してきたロングセラー商品です。誰もが、学校や職場、文房具店で一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

 私たちの学びや働きをサポートしてくれるキャンパスノートは、一体どのようにして作られているのでしょうか?年間販売冊数1億冊超、キャンパスノートのマザー工場「コクヨ工業滋賀」を訪ね、その製造過程に迫ってきました!

◆甲子園球場3個分の敷地内で約300種類のキャンパスノートを製造

 キャンパスノートが製造される、総敷地面積11万4,300平方メートルの広大な「コクヨ工業滋賀」。キャンパスノートに代表される無線綴じノートや複写伝票の機械を、安全・丁寧に案内してくれたのはコクヨ工業滋賀の増田さん。「わかりやすくお伝えできるようにしています」と笑顔が印象的な増田さんの案内に従い、早速キャンパスノートの製造過程に潜入しました。

◆1日5万冊を製造、良質ノートを高速大量製造できる「N-13号機」

 全国に流通しているキャンパスノートをつくっている代表機である「N-13号機」。頭文字の「N」は「ノート」を意味し、無線綴じノートを製造する機械であることがわかります。

 キャンパスノートの製造は、まずこの機械でノート材料の原紙であるロール紙が印刷機にセットされ、罫線を印刷することから始まります。なんとこのロール紙、1本の重さは450kg、長さはざっと9kmにもなるのだとか。1本あたりの製造冊数はB5サイズのノート(30枚)4,700冊分。見学中にも、常に高速でロール紙に罫線が印刷されていました。

◆中紙がノート3冊分の長さでコンベアに登場

 中紙は、罫線を印刷する工程へ進みます。この過程で、真っ白だったロール紙に罫線が印刷され、原紙がノートの中紙らしくなりました。罫線が印刷された中紙は、表と裏で罫線がずれていないか30分置きに厳しくチェックされます。

 罫線が印刷された中紙は、自動的に折りたたまれ製本されます。折られた中紙は指定枚数でカウントされ束ねられ、ノート3冊分が縦に連なった状態で運ばれていきます。

◆中紙と表紙・裏紙をドッキング

 中紙はその後ベルトコンベアに載って運ばれ、先ほどの中紙とノートの表紙・裏紙のドッキングが行われます。コンベアで流れてきた中紙の上下に、表紙と裏紙がリズムよくセットされていくようすが心地よかったです。

◆キャンパスの命「背固め」

 ノートらしくなった中紙と表紙・裏紙のセットはこのあと、「背固め」という工程で背クロスと接着させられます。この工程は、キャンパスノートを製造するうえでもっとも重要とされており、綴じ具がなくても糊だけで圧着させるコクヨ独自の製法が用いられています。

 糊の成分や接着の詳細は門外不出。中紙がバラバラになりにくい無線綴じを実現するため、1975年から改良を重ね守り続けられてきた製法です。inspi読者の方だけにこっそりお伝えすると、糊は白色でした。この糊のおかげで、キャンパスノートの中紙と背クロスは強固に圧着されているのです。

◆最後は断裁、遂に1冊のキャンパスノートが誕生

 背固めののち、ノートは3冊分の長さを保ったままコンベアで運ばれ、N-13号機最後の過程である断裁へ進みます。ここでようやく、ノートが1冊ずつに断裁されるのです。これで、私たちに馴染み深いキャンパスノートが出来上がりです。

 コクヨハクで大人気だった「2連キャンパスノート」は、断裁前のノートだったのですね。いつの日にか「3連キャンパスノート」が販売されることにも期待したいところです。

 閑話休題、ギリギリまで断裁せずノートを連ねておくのは、ずばり生産効率のため。中紙ロール1本あたり4,700冊を製造できる秘密は、こういった工夫にも表れていました。

◆真心と工夫で完成品を梱包、皆さんのもとへ出荷

 出来上がったノートは、私たちのもとへ届けられる準備が行われます。

 まず、断裁されたノートはまとめられ、N-13号機からパッケージングを担う作業機に運ばれます。運ばれたノートは、売り場での見え方を考慮して、パックノートの場合、一番上の表紙がランダムになるよう仕分けられます。見学当日に仕分けられていたのは、「キャンパスノート カラー表紙(5冊入)」。1パックに5色の表紙があることがわかりやすいよう、ノートを仕分けていました。

 仕分けられたノートは、このあと毎時8,750冊を包む高速シュリンクパックマシーンで梱包され、箱詰めされたのち全国に出荷されていきます。工場内には、今か今かと出荷を待つたくさんのダンボールが重ねられていましたよ。

◆キャンパスが守るもの…書き心地と使いやすさ、そして自然環境

 キャンパスノートができるまでは、いかがでしたでしょうか?仕上がったキャンパスノートは、厳しく訓練された検査員が書き心地の検査や背固めの強度検査を行い、安定した品質で私たちの元へ届くよう配慮されています。

 「抗張力試験」と呼ばれる引張りに対する検査を通過した製品の背固めの強度は、なんと中紙に自転車1台分の重さを吊るしても背クロスから剥がれないほど。

 また、キャンパスノート製造の見学後、印刷の過程で出た廃液や紙くずが処理されている現場も目撃しました。罫線の色替え時に発生するインク洗浄後の廃液は、ろ過を繰り返し純粋な水になるまで分離されます。分離されてきれいになった水は、その後自然に還される仕組みです。ろ過後の水は下水道に放出し、下水処理場にて再度処理され、琵琶湖に流れていきます。

 さらに、断裁時に出る紙の端材は、各エリアにある巨大な掃除機の管を通り、一か所に集められます。集められた紙は約80kgの塊として圧縮・回収され、新しい紙へと生まれ変わるのです。

◆一般見学は月2回、秋からの予約がオススメ

 利用するお客さまのことを思い40年、これからも「廃棄ゼロ」を目指して利用者と環境に配慮したものづくりを行っていこうとするようすがよくわかりました。皆さんが普段目にしているキャンパスノートは、このような過程で製造されていたのですね。

 工場見学は月2回、通常午前10時から行われています。申込みは2か月前の第1営業日~見学当日の2営業日前まで受付けており、7月7日時点では秋以降の受付けにまだ空きがある模様。興味を持たれた方は、Webサイトで詳細を確認し、現地まで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

キャンパスノートができるまで…滋賀のマザー工場に潜入!

《佐藤亜希》

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