子育て世代から熱い支持を得る流山市の街づくり……井崎市長インタビュー
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--TXの開業以降、人口増加が著しい。
「開業時に15万2000人だった市の人口は、現在17万4000人まで増えた。昨年の転入超過数は県内で1位、全国の市町村(政令指定都市含む)でも10位だった」
--TXの整備は沿線の土地区画整理事業とともに進められた。
「流山市の場合、区画整理事業を実施する640ヘクタールの多くが自然林だったため、次々と伐採される樹木を見て、悲しむ市民が多かった。そこで、市内の緑を回復する施策として『グリーンチェーン認定』という制度を創設した。これは、民間事業者が市内で商業施設や住宅などを整備する際、道路面に高木(植栽時3メートル以上、5年後に8メートル以上になる品種)を一定以上植えた場合、市が認定する。認定を受けた住宅を購入する人には、市内の金融機関から低利で融資を受けられるなどの特典がある。こうした施策で緑豊かな施設整備を誘導し、『都心から一番近い森のまち』をコンセプトに、良質な住宅街として市を他地域にアピールしている」
--見えてきた課題は。
「ブランディングの効果が現れ始め、昨年は移住者の62%が流山市を第1希望としていたことが分かった。うれしい半面、人口増に伴う待機児童の増加に歯止めが掛からない。流山市には認可保育所が3000カ所あり、定員数は県内で最も多く、首都圏でもトップクラスといわれる。TXの流山おおたかの森駅周辺には、コンビニとほぼ同数の保育所があるが、整備をしても人口の増加スピードに追い付かないのが現状だ。対策として、200戸以上の集合住宅を建設する民間事業者には、必ず保育所を整備するよう働き掛けているが、数年後には小学校や学童保育施設、中学校が足りなくなる。対応に向けて懸命にやりくりする」
--今後の街づくりの方針は。
「TXの開業で東京の都心まで20分台で移動できるようになった。開業前の居住者は専業主婦の子育て世代が中心だったが、都心への通勤・通学がしやすいことを踏まえ、今後は、共働きの子育て世代をメーンターゲットに据え、そういう世代に選ばれる街づくりを進める」
「少子高齢化が進み、10年たつと毎年2000戸程度の空き家が生まれるとの予測があるが、首都圏の中で良質な住宅都市としてのブランドがしっかりと確立されていれば、2000戸を埋めることは容易だ。そのためにも、市外の人が『住みたい』、市内の人が『住み続けたい』と思う街を目指し、今後もグリーンチェーン認定制度や保育所の整備促進などに力を入れたい」。
【つくばエクスプレス開業10周年-沿線開発の歩み・2】子育て世代から熱い支持……千葉県流山市長・井崎義治氏
《日刊建設工業新聞》
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