トラブルを解決せよ! 全国の学生が集う「第4回 ICTトラブルシューティングコンテスト」が開催
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同コンテストは年々参加者が増え、今回は15チーム(1チーム最大5名、約75名)がエントリーした。今回、RBB TODAY取材班は、海外から初参戦したハノイ工科大学(ベトナム)に、2日目午後から密着取材した。
その模様の前に、コンテスト全体の説明をしよう。このユニークな点は、競技者が学生ということだけでなく、学生がすべてを行う手作りコンテストだということ。テコラスの伊勢幸一氏(ICTSC実行委員会 会長)は「基本的に運営は学生が主体で行っています。我々は、資金面や機材面でのバックアップをするだけです」と説明する。
実際にコンテストの企画から、テスト問題の作成、ネットワーク構築、インフラづくり、全体運営、機材撤収までを、学生スタッフがすべて手弁当で行っている。日本ではネットワーク技術者の祭典・INTEROPのShowNetが技術者によって手づくりされているが、その学生版という感じだ。まさに「学生の」「学生による」「学生のための」コンテストといえよう。
さて競技の内容だが、各チームには運営スタッフが構築したネットワーク機器(シスコ提供品)が配置され、自前のPCやコンソール用ケーブルなどを使って、2日間で合計13個のトラブルシューティングを実施する。各チームの問題は、オープンソースのプロジェクト管理ソフト「Redmine」で配布・管理され、回答もRedmineを通じて行うという流れだ。
問題の内容は、かなり実践的だった。実際に現場で起こるようなトラブルを想定したもので、レベルもかなり高い。ネットワーク系については、シスコ認定試験でいえば「CCNA」から「CCNP」の中間ぐらいの難易度だという。さらにサーバ系やセキュリティ系の深い知識も要求される。
各項目の問題は、個別に出題されるわけではなく、ネットワーク、サーバ、アプリケーションのそれぞれに障害が起因する可能性があるため、複合的な知識が試される。また単なる個人の技術力を競うだけでなく、チームで協力しあいながら、役割を分担して、限られた制限時間内に効率的に問題を解決していくチームワーク力も必要だ。
■運営側が考えた意地悪なネットワーク・サーバの問題とは?
コンテスト2日目午後には、以下のような2つの問題が出された。
【問題文その1】(Problem statement)
・公開鍵認証でSSHができません(Failed SSH connection using public-key auth)
支社に新しくサーバが導入された。SSH接続するのにパスワード認証を使うと管理が大変だし、脆弱であるため、踏み台サーバから公開鍵認証を使って接続することにした。踏み台サーバから公開鍵をコピーし、試しに接続してみると、なぜかアクセスを拒否される。パスワード認証では通るのだが……。公開鍵認証で接続できるようにしてください。
この問題では、SELinuxのファイルコンテキストを利用したトラブルで、踏み台サーバから新しいサーバへ公開鍵認証を用いたSSH接続ができない状態になっていた。後ほど運営側は、その原因について「SSH接続ができなかったのは意図した挙動だ。22番ポートでハニーポットが動いていた」と明かした。
【問題文その2】(Problem statement)
・Proxy再構築 (Remake proxy)
新入社員から、ある苦情が来ました。「今日ネットのつながりが悪い! 仕事の進捗に影響が(云々)」。我が社では、社員PCはプロキシサーバを経由して外部ネットワークに接続するように、先日ネットワークサーバやルータの設定を再構築したばかり。確かに今日はネットの調子が悪い。原因を究明し、ネットワークを元の状態に復旧してください。
この問題では、DoSアタックがあり、プロキシ経由で外部サイトにアクセスすると、速度が出ず、アクセスしづらい状態になっていた。初日や午前中の問題よりも、かなり意地の悪い問題が出題されたようで、各チームともけっこう苦戦していたようだった。
《井上猛雄》
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